そして、今、Appleのプレゼンで一番笑いのとれる人、ソフトウェアエンジニアリング 担当シニアバイスプレジデントのクレイグ・フェデリギが登場。15年間OS Xという名称でいたけど、今回はOS Xの発表はないよという台詞に始まり、他のOSと並置したときOS Xだけハミ出てるヤツがいると、軽いジャブを放つ。そして発表された新名称は"macOS"。ただし、名称は変わってもOS Xからの地名シリーズは継承され、今回は"Sierra"。ネバダ州との州境に位置するシエラネバダ山脈(シエラ郡)にちなんだネーミングだ。
ギャグを鏤めながら機能紹介へと突入。まずはOS X Yosemiteで導入されたContinuity機能の拡張から。Apple Watchを装着していればパスワード入力せずともログインできる自動のアンロック機能が搭載される。Apple Watchの存在は、今後さまざまな意味で「カギ」となっていくのだろう。次は待ってましたという機能、ユニバーサルクリップボード。iPhoneで使っていたテキストをMacにコピペするといったことができる。
二番目はiCloud Drive関連。Macの書類フォルダに格納されている、あるいはデスクトップに置いてあるファイルはiCloud Driveに保存され、他のMacやiOSデバイスからアクセスすることができるようになる。筆者のような、とりあえず作ったものはデスクトップに置いておく派の人にはピッタリな機能だ。ちなみに、現在、iCloudには100億もの書類が保管されているそうである。
続いてストレージ最適化機能について。Macの内蔵ストレージの容量が少なくなったとき、アラートが表示されるが、そうなった場合、殆ど使用しないファイルをiCloudに逃がしてやり、空きスペースを確保してくれるというものだ。
そしてApple Payの認証が標準WebブラウザSafariから可能となる。プレゼンテーションでは、iMacを店頭に担ぎ込んでNFCで認証させようという写真が投影されたが、クレイグはこういうネタをちょいちょい挟み込んでくるから油断できない。Safariで今見ている決済ページに表示されたApple Payのボタンを押し、Touch IDでiPhone、またはApple Watchのサイドボタンをダブルクリックすることで支払いが完了する。利用可能な地域が新たに三か国追加。スイス、フランス、香港で、残念ながら日本はアナウンスされなかった。
タブの機能も強化。Safariで採用されているデスクトップ上で積み重ねて表示するのが、殆どの純正アプリ、サードパーティのアプリで可能となる。さらにiOS 9でiPad向けに搭載されたピクチャ・イン・ピクチャがMacでも利用できるようになる。同じくiPadで採用されたSplit Viewを併用すると、Macの挙動がよりiPadっぽく感じられて面白い。
さあ、ここでmacOSの目玉、Siriの登場だ。Mac用のSiriはDockかメニューバーからアクセスするか、ショートカットを使って呼び出す。iOSデバイスのような"Hey Siri"での起動は確認できなかったが、これはアクセシビリティを必要としている人のために用意してほしいところだ。"Hey Siri"すると他のデバイスも一緒に反応してしまうという問題が考えられるが、アクセシビリティに関わるアップルの開発メンバーは、実際に聴覚や視覚、構音など身体機能において障碍を抱える人たちだということなので、その辺、上手い具合に機能するような仕組みを作り上げているのではないだろうか。Siriで実行できることは情報の検索やファイル検索、メッセージ送信などだ。クレイグは、Siriで呼び出した情報をプレゼン資料に貼付けたり、iPad ProとApple Pencilで描いたルートをMacで表示している地図にのせてみたり、Siriで検索した公開中の映画のチケットをApple Payから購入するといった、新機能を組み合わせてデモを繰り広げた。
開発者プレビューは本日より、パブリックβは7月、正式版は今秋の提供を予定している。