居酒屋として苦戦するワタミだが、外食産業そのものが衰退しているわけではない。日本フードサービス協会によると、2015年の外食需要は、異物混入によるファーストフード店のつまずきはあったものの、ファミリーレストランの売り上げが堅調で年間の売り上げは100.1%と、わずかながら上回った。また、焼き肉が好調で108.7%の伸びと外食産業を引っ張る。

この焼き肉のように料理に特化した業態は比較的好調だ。昨期、過去最高の売り上げとなったスシローや、焼き鳥を得意とする鳥貴族などが好調。特に鳥貴族は前事業年度比33.9%増の約113億円の売上高となった。前出の日本フードサービス協会の数字によると、居酒屋は店舗数93%、売上高92.7%と、目立って元気がないのがわかる。

2002年より有機農業に取り組む

ワタミファーム東御農場で栽培される有機ロメインレタス(ワタミプレスリリースより)

そんなワタミにとって突破口となりそうなのが“有機野菜”だ。

実はワタミは2002年より有機農業に取り組んできた実績がある。同年にワタミファームを設立し、年々農地を増やし、現在では全国11カ所に632haの農場・牧場を運営する。ワタミファームや契約農家で栽培された野菜を積極的に採り入れ、メニューに活用。冒頭で紹介したシーザーサラダのレタスもそうした素材だ。

プレス向け試食会を開催し、新メニューを紹介できるのは素材や料理に自信を持っている表れともいえる。実際、ワタミ広報担当者は「こうした取り組みは初のことです」と強調し、ぜひとも新メニューの“デキ”を賞味してくださいと話す。

また「これまで有機野菜にこだわってきましたが、これが我々の大切な財産のひとつだと思っています。今後はこの財産を前面に押し出し、お客様にわかっていただけるようにアピールしていきたいです」(ワタミ 営業推進部 販促企画・インバウンドチーム 部長代理 渡邉真氏)とした。