小型PCと言えば、古くはMini-ITX、最近ではNUCやスティックPCがあるが、2016年はその中に「Mini-STX」が加わりそうだ。Mini-STXは、Intelが提唱している新フォームファクタである。各社のブースにて、Mini-STXのマザーボードやケースを見ることができたので、ここで紹介したい。
マザーボードのサイズは140×147mmになり、170×170mmだったMini-ITXと比べると、面積は3割ほど縮小できる。Mini-ITXとNUCの中間サイズということで、どういう位置付けになるのかちょっと分かりにくいが、特徴としては、NUCよりもカスタマイズ性が高く、Mini-ITXよりもコンパクトになる、というところだろう。
NUCはCPUが固定だったが、Mini-STXはソケットを使うので、Mini-ITXのように自由に選択が可能。通常のデスクトップ向けCPUが利用できるので、コストパフォーマンスは良いだろう。TDPは基本的に65Wまで対応し、電源はACアダプタとなるようだ。
Mini-ITXに比べ、基板サイズは小さくなるので、メモリはSO-DIMMになり、拡張スロットは用意されない。搭載可能なストレージはケース次第になるだろうが、インタフェースとしては2.5インチSATA/M.2が用意されていた。
まだ市場にマザーボードもケースも出回っていないため、製品としては、ベアボーンや完成品PCが先に投入されることになりそうだ。今後、各社から順次製品が登場してくると思われるが、ASRockは今年7月の発売を予定しているという。
自作PCユーザーとしては、マザーボードとケースの単体販売も気になるところだろう。このあたりは各社ともまだ手探りのようで、発売時期等、明確な回答を得られたメーカーは無かった。ただ興味はあるようで、「将来は単体販売したい」と言うメーカーが多かった。
ちなみにNUCも当初、マザーボードとケースの単体販売が行われたことがあったが、マザーボードのI/Oが変わったらケースが使えなくなるなど、互換性の面で問題があり、最近では見かけなくなってしまった。しかしMini-STXの場合は、Mini-ITXと同じように、I/Oパネルが交換式になっており、互換性はかなり改善していそうだ。
とはいえ、すでに普及しているMini-ITXとの違いはやや分かりにくい。サイズだけを追求するならNUCでいいし、拡張性ならMini-ITXの方が優れている。BTXやDTXなど、過去、普及せずに消えていったフォームファクタは多い。Mini-STXはどうなるだろうか。