最新機種は年1にペースダウン
プレゼン後に行われた質疑応答のなかで、記者団から「2015冬モデルはラインナップが8機種あった。2016夏モデルが5機種に減った理由はなぜか」と質問されると、プロダクト部長の丸山誠治氏は「ひとつひとつが魅力的で、機能、性能、価格の面でもバリエーションに幅をもたせている」と回答して理解を求めた。そのうえで、同氏はスマートフォンの発表サイクルの変更についても言及。これまでGalaxy、Xperiaなどは「半年に1回」程度の頻度で最新機種がリリースされていたが、このタイミングを今後は「1年に1回」にペースダウンすると明かした。
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今回の発表会を通じて、ドコモのどんな思惑が見えてくるだろうか。「製品のラインナップ」「端末に搭載するサービス」「新事業領域のサービス」の観点から考えてみたい。
- 製品のラインナップ
総務省の指導の下、携帯電話の利用料金を下げる施策として今春から“実質0円”でスマートフォンを販売することが実質的に禁止となった。このことで、ユーザーは高額なスマートフォンを購入しにくくなった。この影響から今後、市場に流通する端末の数は縮小することが予想されている。ユーザーは、これまで以上に同じ端末を長く使うようになるだろう。同社が製品のラインナップを絞り、新製品をリリースするタイミングを年1回にペースダウンする理由はここにあるはずだ。
- 端末に搭載するサービス
囲み取材などを通じて、加藤薫社長からは「スマートフォンの性能がアップし、機能が成熟してきた。現状では少し似てきている」といった言葉が何度か聞かれた。スマートフォンの進化が一定の水準まで達しており、均一化しつつあるのは事実だ。そこでドコモでは、端末に搭載するサービスで差別化を図る。スグ電を4機種、VoLTE(HD+)を3機種、PREMIUM 4Gを2機種に絞って対応させたことからも、その意図が伺える。夏モデル5機種すべてにこれらの新サービスを搭載することも可能だっただろう(端末側の仕様で搭載できない場合もあるが)。しかし、あえてそうしなかった。
- 新事業領域のサービス
先の実質0円の廃止により、MNPを利用してキャリア間を移動するユーザーは減少すると考えられる。契約者数にして最大の規模を誇り、近年ではユーザーの流出に悩んでいたドコモとしては、この機会を逃したくない。同社では、かねてから家族の利用を促進し、また長期契約者を増やし優遇する施策を打ち始めていた。今回の「dリビング」および「iコンシェルの機能拡充」、健康をテーマにした新事業領域のサービスなど、その好例といえるだろう。