新機種よりも弁当を注目すべき
その意味合いを説明する前に、これらのサービスについて軽く触れておこう。「dリビング」は、生活トラブルや家事サービスのサポート、留守中の部屋の見守り機能などを提供してきた「家のあんしんパートナー」をリニューアルして名称変更し、子供のシッターサービスや買い物、食事の用意などができる家事代行サービスが追加された。
"健康"では、子会社2社の新商品が重要だ。ひとつは、らでぃっしゅぼーやが遺伝子検査のネオリアと協同開発した「健康弁当」。肥満遺伝子タイプ(糖質で太りやすい、脂質で太りやすいなど)に合わせた食材になっているという。もうひとつは、ショップジャパンを運営するオークローンマーケティングの「Hill's Epicure」という冷凍食品。低糖質、低脂質、高たんぱく質にこだわったものとなっている。
糖質、脂質を減らし高たんぱくにこだわった食品の「Hill's Epicure」。東京都元麻布の人気レストラン「EPICURE」のオーナーシェフ藤春幸治氏と共同開発したという |
らでぃっしゅぼーやは肥満遺伝子タイプ別の健康弁当を販売。写真は糖質で太りやすい人向けの濃厚デミグラスソースハンバーグと十六穀米ごはん。遺伝子検査キットも販売する |
dリビングと食品の位置づけとは
dリビングと子会社2社の食品。いずれもドコモの事業とは遠いように見えるが、「通信依存から脱却図るドコモ、次なる期待はどこに?」という記事に記したとおり、同社は今、スマートライフ領域と呼ばれる分野を重視しており、上記の事業はこれらに属すものとなる。
dリビングは、キャリアフリーの戦略をとるdマーケットのコンテンツのひとつとなる。ドコモユーザーでなくとも、サービスの利用が可能なのが特徴で、通信事業に次ぐ新たな収益の柱として、ドコモが注目している事業だ。最近ではMVNOとの連携を図っており、今後も拡大させていくとしている。健康食についても、キャリアフリー戦略をとる「dショッピング」での販売となり、dショッピング自体もdマーケットを構成するコンテンツのひとつに位置づけられている。
今回の発表会では、スマホの新商品に注目してしまうと、物足りなさを強く感じてしまうだろう。しかし、ドコモが描く戦略に発表内容なぞらえていくと、今、注目すべきサービス、新商品は、通信事業とは切り離された意外なものが目に留まることになる。スマホから別のサービス、商品のお披露目の場として、発表会の役割が変わろうとしているのだ。