スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですから、スペック表を見れば専門用語のオンパレード……これではおいそれと比較できません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「USB Type-C」についてです。

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Type-Cとは、USB(Universal Serial Bus)の最新規格「USB 3.1」で制定されたUSBコネクタの規格です。形状が左右対称で表裏の区別がなくどちらの向きでも挿すことができ(リバーシブル)、コネクタサイズは8.4×2.6mm以下とUSB Mirco-B端子に近い小型サイズです。

USB 3.1では、USB 3.0でサポートされた最大データ転送速度5Gbpsの「SUPER SPEED(Gen 1)」モードにくわえ、最大10Gbpsの「SUPER SPEED PLUS(Gen2)」モードが用意されます。Type-CコネクタはUSB 3.1とUSB 2.0両方の信号線を持つことが可能なため、USB 3.1/3.0/2.0との互換性を有しますが、コネクタの形状が以前のUSB規格と物理的に異なるため、パソコンなどの機器と接続する場合は変換アダプタや専用のケーブルが必要です。

Type-Cでは電力供給能力も強化され、コネクタは最大5A(ケーブルは標準仕様で最大3A)の給電が可能です。耐久性も大幅に向上して約1万回もの抜き挿しが可能となり、最大約5千回とされる従来のMicro-Bと比べると、スマートフォンのような抜き挿しが多い機器への適応が進んだといえます。

2016年5月現在、Type-C端子を備えたAndroid端末としてGoogleの「Nexus 6P」や「Nexus 5X」が発表されています。両端末が対応するUSB規格はUSB 2.0であり、USB 3.0/3.1の高速なデータ転送には対応しませんが、最大で15W(5V/3A)という大電力に対応するため、充電速度の速いことが強みです。

Type-Cの採用は、2016年夏モデルから急速に進むことが予想されます。オルタネートモードを利用すれば、MHLなど別規格の端子を兼ねることもできるため、Micro-B端子に取って代わる日も遠くはないでしょう。

今後スマートフォンでの普及が見込まれるコネクタ規格「USB Type-C」