三菱自動車工業は4月20日、国土交通省で同社が生産・販売していた自動車の燃費試験の不正行為について記者会見を行い、謝罪した。具体的には軽自動車の型式認証取得において、国土交通省へ提出した燃費試験データが燃費を実際よりも良く見せるための不正操作のほか、国内法規で定められたものと異なる試験方法で行っていた。会見には取締役社長 兼 COOの相川哲郎氏、取締役副社長 品質統括部門長 開発担当の中尾龍吾氏、開発本部長の横幕康次氏の3人が出席した。

該当車は、2013年6月から生産している「eKワゴン」「eKスペース」と日産自動車向けに供給している「デイズ」「デイズルークス」の計4車種。これまでに三菱自動車は計15万7000台を販売し、日産自動車向けには計46万8000台を生産しており、合計62万5000台(2016年3月末現在)。燃費試験については該当車のいずれについても開発を担当し、認証届出責任を持つ三菱自動車が実施していた。

中尾副社長は「昨年の8月に次世代車の開発を日産自動車で行うことが決定し、11月に開発車の試験を開始するため現行車であるデイズの燃費を調査した結果、日産自動車から届出値と乖離があると指摘を受けた。そして、2月に日産自動車と合同調査を行い、3月に分析した結果、走行抵抗(車両走行時の主にタイヤなどの転がり抵抗と空気抵抗)に差があることが判明した。それに基づき、4月から走行抵抗の差について調査し、最終的に不正が行われていたことが判明し、同13日に相川社長、同18日に日産自動車に報告した」と説明。

また「現在、走行抵抗の再試験中であり、実際の値との乖離は現状では5~10%を想定している。性能実験部が不正を行い、どのレベルまで関与していたかは調査中であり、社内調査だけでは透明性がないため外部の独立した有識者による委員会を設置し、全貌を解明したい」と述べ、調査結果がまとまり次第、公表を予定している。

謝罪会見で説明を行う三菱自動車工業 取締役社長 兼 COOの相川哲郎氏

そして、相川社長は「データは意図的に操作されたと考えており、理由としては良い燃費性能を見せるためだったとのではないかと判断している。この件については報告があるまで把握しておらず、経営的責任を感じている。まずは問題を解決し、再発防止に向け道筋をつけることが責任だ。無念であり、忸怩(じくじ)たる思いだ」と硬い表情で前を見据えていた。

ユーザーへの対応としては燃料代も含め、検討を進めているという。該当車については生産・販売を停止しており、日産自動車でも販売を停止。補償についても今後、協議する。そのほかの国内市場向け車両についても、社内調査の過程で国内法規で定められたものと異なる試験方法で行っていたことが判明したほか、海外市場向け車両についても調査を行う。