Microsoftはこのほど、「Is it time to upgrade from Microsoft Office? Everything you need to know.|Microsoft Community Hub」において、永続ライセンスまたはオンプレミスバージョンのMicrosoft Officeは生産性を制限するとしてサブスクリプションサービスに移行するように促した。
クラウドベースのMicrosoft 365を使用すると、Microsoft Teamsを介した会議やチャットに加え、従業員はどこにいてもドキュメントやアプリ間のリアルタイム共同作業ができるという。また、AIアシスタントのCopilotを利用することで、さらなる生産性の向上が望めるという。
移行する絶好のタイミングは今
MicrosoftがForrester Consultingに依頼した調査によると、Microsoft 365導入による投資収益率(ROI: Return on Investment)は3年間で223%の大幅増となり、半年以内に投資を回収できるという。そのうえ、3年間で50万ドルを超える定量的なメリットが得られたと説明している。
これら収益改善の理由として、次の要因が挙げられている。
- 高度なコミュニケーションツール、業務の自動化、プロセスの改善により従業員1人あたり毎週1.5時間の共同作業時間を節約できる
- ITスペシャリストの生産性が向上し、顧客対応が軽減され、システム更新とパッチ適用に費やす時間が最小に抑えられる。年間の節約時間は686時間に上る
- 旧式のハードウェアとソフトウェアを廃止することで29万7,000ドル以上を節約し、ITメンテナンスコストも軽減される
この調査においてはPower Automateによる自動化されたワークフローによる合理化や、Power BIの分析による意思決定の改善など、数値化されていないメリットも考慮されている。Microsoftはこれら機能強化により、チームの管理オーバーヘッドの削減、戦略的タスクへの集中、データに基づく洞察の活用などが可能になり組織全体の効率と成長が推進されるとしている。
旧バージョンのOfficeはまもなくサポート期限を迎える
Microsoftは移行を推奨するもう1つの理由として、Officeのサポート終了を挙げている。Office 2016およびOffice 2019は、2025年10月14日にサポート期限を迎え、この日以降、セキュリティ更新プログラム、バグの修正、テクニカルサポートの提供が停止される(参考:「Get ready now: One year until Office 2016/2019 end of support | Microsoft Community Hub」)。
サポート終了製品の継続利用はセキュリティリスクや運用上の問題を引き起こす可能性があり推奨されない。そのため、期日より前に余裕を持ってMicrosoft 365へ移行することが推奨されている。
なお、Officeのサポート終了はWindows 10のサポート終了と同じ日が設定されている。Microsoftはあえて同じ日を選択したものとみられ、「Windows 10, Office 2016 & Office 2019 サポート終了 - Microsoft for business」においてクラウドへの移行を推奨する特設サイトを公開している。
大幅な環境の変化は従業員に戸惑いや不安を覚えさせることになるが、Windows 10およびOffice 2016/2019を運用している企業にはこれを機会と捉え、Windows 11およびMicrosoft 365への移行を検討することが望まれている。