「フリーコース」提供の一方で長期割引も強化

NTTドコモの新たな施策を具体的に説明すると、「カケホーダイ」「カケホーダイライト」「データプラン」などを「定期契約」ありで契約した場合、月額料金が割り引かれる代わりに、最初の2年間は従来通り、中途解約で9,500円支払う必要がある“縛り”がつく。だが2年経過した後は、2年間の縛りは継続するものの、長期契約割引の「ずっとドコモ割」が適用される「ずっとドコモ割コース」と、ずっとドコモ割が適用されない代わりに縛りがなく、いつでも解約できる「フリーコース」のいずれかを選ぶことができる。

大きなポイントとなるのは、ずっとドコモ割コース、フリーコースのどちらを選んだ場合でも基本料は変わらず、カケホーダイであれば月額2,700円、カケホーダイライトであれば月額1,700円で利用できること。そしてフリーコースであっても、毎月端末価格を割り引く「月々サポート」の対象外にはならないことだ。先行する2社のように、解除しやすくなっても料金が上乗せされるなど不利な条件が付くわけではなく、基本料は同じだというのが大きな違いといえるだろう。ちなみにフリーコースからずっとドコモ割コースにはいつでも変更可能であり、変更時に長期契約の年数がリセットされることもない。

「フリーコース」と「ずっとドコモ割コース」の仕組み。契約から2年を迎えた時、いずれかのコースに切り替えられるようになる

その一方で、NTTドコモはずっとドコモ割の強化も実施している。具体的には、これまで契約5年目以降に割引が適用されていたのが、4年目からと早められたほか、データ通信容量が最も多く、高額な「シェアパック30」で、割引額が2,000円から2,500円に拡大。さらに従来、契約10年目以降でないと割引が適用されなかった「シェアパック5」「データLパック」「データMパック」に対しても、4年目から割引が適用されるようになっている。

今回の施策に合わせて「ずっとドコモ割」も強化され、契約4年目から適用されるようになったほか、プランと年数によっては割引額も大幅に向上している

さらに、ずっとドコモ割コースで2年契約を更新することで、3000ポイントがもらえる特典「更新ありがとうポイント」も用意。このポイントは毎月の携帯電話料金の支払いには適用できないが、端末の購入やdマーケットなどでの利用、さらにはdポイント加盟店での利用は可能だという。

総務省での議論の影響からフリーコースを用意する必要があったとはいえ、NTTドコモとしてはずっとドコモ割コースを選んでほしいのが本音である。それだけに、割引やポイントなどでメリットを打ち出すことで、ずっとドコモ割コースの選択率を高めたい狙いがあるといえよう。

実際、NTTドコモの取締役常務執行役員 経営企画部長の阿佐美弘恭氏は、「ユーザーの要望に応えるべくフリーコースを作った。フリーコースを選ぶ人が1~2割いると想定してはいるが、半々(の比率)になるとは思っていない。我々としてはずっとドコモ割を選んでほしいのが本音」と話しており、NTTドコモにとってメリットが大きい、ずっとドコモ割コースに注力していることを明確に示している。