MM総研は4月6日、主要なソリューション事業者へのヒアリング調査などをもとに、企業内にあるさまざまなコミュニケーションツールの統合・連携を実現するWeb統合電話帳アプリケーションの市場規模および事業者シェアの結果を発表した。

Web統合電話帳アプリケーションの定義としては、IP-PBX/SIPサーバなどと連携し、電話番号、メールアドレスなどの電話帳を、固定電話やモバイル端末(PC、スマートフォン、タブレット端末など)などから、社内・社外を問わず、利用できるようにするWebベースの電話帳アプリケーションであることと、電話帳の画面上で、電話、メール、プレゼンス確認、インスタントメッセージ、Web会議などのコミュニケーションツールと連携できる機能を持っていることとなっている。Web上での電話帳データの共有管理・一括管理に機能が限定されたソフトウェアや、PBXなどの一機能として提供されているものは含まれていない。

調査の結果、2015年12月末時点でのWeb統合電話帳アプリケーションのクライアントライセンス数は、前年同期の46.2万ライセンスから69%増となる78.2万ライセンスに拡大した。

Web統合電話帳アプリケーションの市場規模推移と予測(クライアントライセンス数ベース)

同市場では大企業を中心に、コミュニケーションの効率化による生産性の向上や、クラウドとスマートデバイスを利用するワークスタイル変革への動きが、引き続き市場拡大を牽引しているという。チャットや名刺管理サービスとの連携など機能も多様化し、利便性も年々高まっているとのこと。PBXの販売を行ってきた通信機ディーラーに加えて、IT系の販売店なども顧客のワークスタイル変革に応える商材の一つとして積極的に拡販を図りつつあるという。Web電話帳のサービス事業者も、初期投資が比較的少なく手軽に導入できるクラウドサービスでの提供にも注力するなど、市場の裾野は大企業のみならず、中堅中小企業にも広がりつつあるとのことだ。

こうした状況から、2016年末のクライアントライセンス数は120万ライセンス、2017年末には180万ライセンスに拡大するものと同社は予想している。

2015年12月末時点でのクライアントライセンス数ベースのベンダ別シェアは、Phone Appli(フォンアプリ)が75.2%を占めて首位に立っている。同社が提供するWeb電話帳アプリケーションである「Phone Appli Collaboration Directory」(PACD)の2015年12月末時点でのクライアントライセンス数は、前年同期比69%増となる58.8万ライセンスに拡大した。大手企業を中心に導入が進んでおり、ITサービス系企業から製造・商社・金融・流通など顧客層は幅広いとのこと。同社の強みはシスコシステムズのユニファイドコミュニケーション基盤「Cisco Unified Communications Manager」(CUCM)との接続技術の高さで、これまでにも数多くの実績を上げていると同社はいう。

Web統合電話帳アプリケーションの事業者シェア(2015年12月末、クライアントライセンス数ベース)

2位は19.4%の日本証券テクノロジーで、2015年12月末時点のクライアントライセンス数は前年同期比90%増の15.2万ライセンスとほぼ倍増した。既存顧客の大口案件を複数獲得したことに加え、幅広い業種で新規顧客を開拓したことが実績拡大につながったという。同社は金融系向けの案件で多くの実績を持っており、顧客からも高い信頼を得ているという。この実績の積み重ねが既存顧客の拡張案件や金融系以外の新たな顧客獲得につながっていると、同社は見ている。