リコーは3月31日、同社が開発した全天球カメラ「RICOH THETA」と連動するアプリケーションやガジェットを募る「RICOH THETA × IoT デベロッパーズコンテスト」を開催することを発表した。ここでは、同日、東京大学本郷キャンパス ダイワユビキタス学術研究館 ダイワハウス石橋信夫記念ホールにて行われた、同コンテストの説明会の様子をレポートする。

東京大学大学院情報学環 教授 坂村健氏

同コンテストは、リコーより公開されるクラウドAPIを用いて、「RICOH THETA」(以下、THETA)と連動するアプリケーションやガジェットを幅広く募集するもの。昨年開催された「RICOH THETA デベロッパーズコンテスト」をさらに進化させ実施するもので、同社が主催し、ユビキタス・コンピューティングおよびIoTの研究開発を行う「YRPユビキタス・ネットワーキング研究所」の共催、そしてIoT技術を活用したオープンアプローチによる情報社会基盤の展開を学術・研究の立場から推進する「東京大学大学院情報学環ユビキタス情報社会基盤研究センター」の特別協力、さらに日本科学未来館とドワンゴの協力により開催される。

キーワードは「オープン」

最初に登壇した、東京大学大学院情報学環 教授/ユビキタス情報社会基盤研究センター センター長/YRPユビキタスネットワーキング研究所 所長の坂村健氏は、同センターがこのコンテストに協力する理由について、『世の中がIoTやユビキタスコンピューティングなどで変わっていくの流れでは、あらゆる情報を「オープン」にすることで大勢の人々が参加し、さまざまな問題を解決していくことが重要だ』と冒頭の挨拶で強調。こうした考えにリコーが賛同し、今回のコンテスト開催に至ったという。また、賞金が贈られるコンテスト形式にすることにより、それが大きなインセンティブになると述べた。

リコー 新規事業開発本部 大谷渉氏

最優秀賞に賞金100万円を贈呈

続いて、リコー 新規事業開発本部 新規事業・プラットフォーム開発センター 所長 大谷渉氏が登壇し、コンテストの概要について説明した。今回募集するのは、THETAとセンサー、Web上のデータなど、インターネットと融合した新しいIoTコンセプトのアプリケーション、あるいはTHETAと連動するガジェットやアプリケーションだと説明。スケジュールについては、募集期間が4月1日~8月10日、応募作品の提出締め切りは8月31日。審査を経て、11月7日に表彰式が予定されているということだ。

また、最優秀賞(1点)には賞金100万円、優秀賞(3点)に50万円、80周年記念賞(5点)に30万円、審査員特別賞(点数未定)に10万円がそれぞれ贈呈されるという。そして応募者特典として、クラウドAPI(ベータ版)およびTHETAシリーズの筐体3Dデータが提供されるとのことだ。その他、コンテストの詳細については、コンテスト特設サイトを参照して欲しい。

なお、このコンテストの狙いについて大谷氏は、「ハードウェアを介してサービスを提供するプラットフォームへ変わっていく第一歩にすること」、「プラットフォームをオープン化することで幅広い人々に参加してもらい、一緒に価値を作り上げ育てていく形態へアプローチすること」のふたつを挙げた。

THETAのためのBaaS(Backend as a Service)を提供

提供するものについては、全方位写真・ビデオ向けに設計されたクラウドストレージ機能のREST APIのほか、全方位ビデオをリアルタイムで送受信できる仕組みやTHETAを遠隔操作する機能、センサーと連携させるための機能を予定しているという。さらに、SNSとの連携や機器認証・管理など、THETAのアプリケーション開発でよく使われる機能についても公開するということだ。

最後に大谷氏は「機能やデータを可能な限りオープンにしていくこと」と、「ユーザーや開発者のコミュニティを大切にし、声を聞いて開発に役立てていくこと」が同社のプラットフォームに対する考え方であると明かした。