こんにゃくの強みとは

前ページでも紹介したように、順風満帆とはいえないこんにゃく。しかし、その"ヘルシーさ"と"変幻自在な形"を生かせば、特に海外市場で勝機があるかもしれない。

まずはこんにゃくの強みについておさらいしておこう。一般財団法人日本こんにゃく協会 事務局長の原田都夫氏は、こんにゃくの健康効果について主に以下の4点を教えてくれた。

  • 低カロリー(ヒトが吸収できない食物繊維と水が主成分)でも満腹感を得られる
  • 水分を多量に含んだまま大腸に達し、腸を刺激して排便を促す
  • 食物繊維が腸内細菌のエサとなり、腸内を善玉菌優勢の環境に整える
  • 卵と同等のカルシウムを含んでおり、かつ、溶出して吸収されやすい

原田氏は「こんにゃくはいろいろな料理に取り入れやすいのもメリット」と語る。たしかに、こんにゃくはおでんなり煮物なり、うまくその味に染まってくれる。おかずだけでなく、ゼリーやわらびもちといった甘味にも変身できるのが何よりの証拠だろう。板こんにゃくだけでなく玉こんにゃく、しらたきなど、形も自在なのが特徴だ。

海外の反応「未知の食感」

ニューヨークこんにゃくアンテナカフェ(写真は群馬県提供)

日本一の産地である群馬県は、こんにゃくの知名度アップ、さらには輸出拡大を目的とし、さまざまな取り組みを行っている。そのひとつが、アメリカのニューヨークにある「こんにゃくアンテナカフェ」だ。

こんにゃくアンテナカフェでは、群馬県内の加工業者が製造したこんにゃくを使用。群馬県のぐんまブランド推進課によれば、在米日本人はもちろん、「特に健康意識の高いニューヨーカーから、食物繊維が豊富、低カロリー、グルテンフリーといったこんにゃくの特徴に興味を持ってもらっていると感じます」とのこと。こんにゃく独特の食感やにおいが苦手という人も一部いるようだが、おおむね好評で、特に「こんにゃくチャーハン」「こんにゃくヌードル」料理が人気だ。店内にはこんにゃくができるまでを図示したタペストリーを掲示するなど、こんにゃくを周知するための役割を果たしている。

また、2015年開催のミラノ国際博覧会(ミラノ万博)日本ブースでは、フィナーレを飾った群馬県が「上州和牛」と「こんにゃく」を主にアピール。こんにゃくを用いた現地向けスペシャルメニューとして「紫蘇ペーストで和えたこんにゃくのタリアテッレ、シチリアの赤海老を豆腐のソースで」「上州和牛フィレとこんにゃくのすき焼きスタイル(ミラノ風すき焼き)」を振る舞った。

ミラノ万博で振る舞われたこんにゃくのタリアテッレ(左)とミラノ風すき焼き(右)。すき焼きは日本のものと大きく異なるスタイルだが、ソースが割り下になっている。白いのがこんにゃく

ミラノ万博の来場者。こんにゃくのタリアテッレを配布

来場者アンケートでは、「食感が変」「見た目から想像した味と実際の味がちがう」などの意見もありつつ、「こんにゃくの食感は未知の領域だ、おいしい」「こんにゃく最高ですね。家でもこんにゃく料理を作ってみたい」といったポジティブな意見が7割を占めたという。

こうした取り組みが奏功してか、「欧州では、こんにゃくが"美の食材"として認知され始めています。すでにスーパーでこんにゃくを取り扱っていることからも、プロモーション活動を続けていけば、ますますの普及が見込めると考えています」と、担当者は説明する。