開催中のCES 2016で、NECパーソナルコンピュータが先日発表(既報記事はこちら)したばかりの「LAVIE Hybrid ZERO」新モデルを出展していた。正式発表は少し先になるそうで、本体500g以下の11.6型・着脱式2in1と、ざっくりした情報だけを公開していたが、CES会場で触れたのは量産機に近い試作機とのこと。第一印象はとにかく「薄くて極端に軽すぎる」。軽すぎて500g以下なんてものではなかった。

新「ZERO」は11.6型の着脱式2in1で、超軽量が最大の特長。おそらく、いくつかの世界最軽量記録を塗り替えるはず

まず現時点で同社が公開している情報をまとめると、この新モデルは、13.3型クラムシェルで世界最軽量(約779g)をうたった「LAVIE Hybrid ZERO」シリーズの追加モデルとして、同社の2016年春モデルとして投入予定。新モデルは11.6型に小型化し、さらにキーボード部分が着脱する、いわゆるデタッチャブル2in1だ。第6世代「Intel Core m」や、「Intel RealSence 3Dカメラ」(1080p)の搭載もわかっている。

カラバリは2種類、ブラックとシルバーを確認

肝心の軽さだが、現在の公式なアナウンスではWindows 10を搭載するタブレットPCが「500g以下」、拡張バッテリ内蔵のキーボード部分をドッキングしても、合計で「1kg以下」としている。着脱式は機構が複雑なぶん、合計重量でクラムシェルより軽くするのは困難だろうから、かなり軽い数字に見える。が、ドッキング状態の実機を持ってみて感じた。「1kgとかのレベルじゃない。100g単位で四捨五入したんじゃ?」と。

現地でも正確な重量情報は未だ秘密ということだったが、取材時、ちょうど手元に400ml弱のペットボトル飲料を持っていたので、持ち比べを試みた。感覚頼りなのと重心の違いで明確なことは言えないが、タブレットPC単体と同じような重さにしか感じない。ついでにタブレットと拡張バッテリ内蔵キーボードも同等の重さと感じた。400g+400g=800gを前後するあたりの重量にしか感じないのだ。

同じような重さのような……。荷重が分散するぶん、むしろ軽く感じる

キーボードも同じような重量に感じる。あわせて1kgは絶対にない

1kg以下を必達に開発し、やってみたら凄く軽くなってしまった

同社の担当者によれば、"Windowsタブレットは重い"という固定概念を崩すために、360度回転ヒンジではなく、着脱式で1kgを切ることを必達目標に掲げて開発をスタート。開発チームは内部目標としてさらに軽い重量をターゲットに、素材から見直して軽さを追求したそうだ。タブレットの天板だけでなく内部補強フレームにも、マグネシウム合金よりさらに25%軽量なマグネシウム・リチウム合金を採用しているという。

天板はマグネシウム・リチウム合金で、内部の補強フレームもマグネシウム・リチウム合金

また、ただ軽くすれば良いというだけでなく、利用時に快適な重心を得るための重量バランスにも配慮したそうだ。たとえば合計重量を減らすためキーボード側を極端に軽くしてしまうと、タブレットの重さで後ろに倒れやすくなってしまう。手に持った時に重心が極端に偏ったつくりでは、片手で持って使うことが多いタブレットだけに違和感が大きくなってしまう。実際、もっと初期の試作機では、重量そのものは更に軽いものも作成していたそうだが、バランスの調整を念入りに行った。CES 2016会場で手に取ってみた試作機の仕上がりでは、重心のバランスに問題を感じない。

このキーボードユニットでのヒンジも開き具合。ひざ上で使うとちょっとつらいか

ヒンジ側の下部が底面にせり出し、キーボードに角度がつく仕組みになっていた

真ん中あたりで片手に乗せても違和感がない

軽さの印象以外の部分も、わかった範囲でレポートしておこう。こちらも重要なバッテリ駆動時間だが、試作機のタブレット単体で、充電95%状態でのOS計算の駆動時間が残り約6時間50分、拡張バッテリ内蔵のキーボードと合体させると充電94%状態で約9時間30分。試作機であることなど考慮しても、製品版でも10時間クラスの駆動時間は期待してよさそうである。

タブレット単体での残り駆動時間。フルで7時間くらいか

キーボードの拡張バッテリを追加すれば10時間クラス

ほか試作機では、OSはWindows 10、メモリ容量は4GB、CPUは1.5GHzのIntel Core m3-6Y30、ストレージは東芝の128GB SSDを搭載していた。ディスプレイはタッチパネルで、解像度は1920×1080ドット。外部インタフェースはタブレット側にUSB 3.0(USB Type-C形状)とmicroSDスロットがあり、このType-Cは製品版でもUSB PD規格などはサポートしないそうだ。キーボード側にはUSB 3.0が2基、それとHDMIがある。またRealSence 3Dカメラはタブレットの天板に配置されていた。

着脱部分は中心に独自コネクタ、その左右にくぼみの3点。固定用にマグネットも仕込まれている。なお、逆挿しはできない

試作機のCPUやストレージをチェックしてみた

左側面(写真左)と右側面(写真右)。インタフェース類は右側面に集中

ところで、詳細不明だがmicroSDスロットの隣にSIMが挿せそうな部品が……

天板(タブレット)と底面(キーボード)。底面のくぼみは強度向上にため

カメラはタブレットの内側と外側に。外側はIntel RealSence 3Dカメラ

タッチパネル対応なので問題なさそうだが、タッチパッドは少し小さい

キーボードはストローク浅め。打鍵感は既存のZEROに似ていた

サイズは非公開だが、11.6型のディスプレイサイズから縦横はおおまかに判断できるだろう。メジャーか何かを持ち歩いていなかったことを後悔したが、手元にあった薄さ7.3mmのスマートフォン「Xperia Z3」とタブレット単体を比較してみると、やや新ZEROが厚いが、差はミリ単位もない微妙なものだった。

ソニーのXperia Z3と比較。8mmは切っている感じ

この新しいZEROは、既存のZEROよりもコンパクトなパソコンが欲しいといった、日本のユーザーのフィードバックを反映し、ディスプレイサイズを定義し軽さを追及した製品と説明があった。同社担当者は「日本のユーザーのニーズにぴったりな製品」と話しており、ちなみに米沢生産だそうだ。なお現時点で海外展開は未定というが、思い起こせば、昨年のCES 2015でレノボとジョイントベンチャーを組んで初めて出展した「LaVie Hybird ZERO」は、極端な軽量追及で話題となり、CES公式アワードのBest PC賞も受賞した。本機の驚きも、楽しめるのが日本だけではもったいないと筆者は思う。海外発売は、反響が大きければ可能性はあるとのことだ。