NVIDIAは4日(米国時間)、米国ラスベガスで開催する2016 International CES(CES 2016)に合わせて、記者会見を開催し、自動車の自動運転などを実現する車載向けコンピュータ「DRIVE PX2」を発表した。

DRIVE PX2

「DRIVE PX2」は、2015年のCESでNVIDIAが発表した「DRIVE PX」の2世代目となる。未発表の次世代「Tegra」に加え、こちらも正式には発表されていない次世代GPU「Pascal」を2基ずつ搭載する。製造プロセスは16nm FinFETで、おそらく台湾TSMCによる製造とみられる。

DRIVE PX2のボードを披露するNVIDIAの創業者でありCEOのジェンスン・ファン(Jen-hsun Huang)氏

現行のTegra X1では、Cortex-A57とCortex-A53を4基ずつ、合計8コアをbig.LITTLE構成で搭載していたが、次世代Tegraでは、同社が開発した64bit ARMコア"Denver"を2コア、Cortex-A57を4コアの6コア構成になるとみられる。

DRIVE PX2の概要。CPUが12コアとなっているのは2つのチップを合計した数字のため。デスクトップ向けハイエンドGPU「GeForce TITAN X」と比較して、高いパフォーマンスを持つという

一方、「Pascal」ベースのGPUに関してはほとんど情報はなく、CUDAコア数やグラフィックスメモリの容量なども明かされていない。「Pascal」では広帯域メモリ「HBM」(High Bandwidth Memory)が採用されるとしているが、会見の映像を見る限り既存のGDDR5、あるいはGDDR5Xの可能性はある。

GPUが実装された背面の様子

演算性能は8TFLOPS。また、ディープラーニング関連の演算性能を示すものとして「DL TOPS」という指標を挙げ、「DRIVE PX2」では、24DL TOPSの性能を実現するという。これは1秒間に24兆回のディープラーニング演算が可能なことを示しており、「MacBook Pro150台分」の演算性能だという。

コンパクトでありながら高い演算能力を実現するという

ボルボが採用を発表

「DRIVE PX2」は、すでにボルボ・カーが採用を発表しており、同社の自動運転車実験プロジェクト「Drive Me」の一環として実施する路上走行試験に用いられるという。「DRIVE PX2」により、複数のセンサから入力されるデータをリアルタイムに処理し、車線や車両、歩行者、道路標識といった自動車の周囲にある物体をディープラーニングを使うことで認識、危険予知につなげるとしている。

DRIVE PX 2の一般販売は2016年第4四半期、アーリーアクセスが可能な開発パートナーには2016年第2四半期に提供を開始する。