――「omni7」によって、グループ会社の共通システムをつくり、IDの統一も行ったと聞きます。

IDは完全に統一しました。たとえば、nanacoを使った購買情報は、リアルとネットの両方で共有可能な仕組みとなっています。

しかし、「omni7」はまだスタートを切ったばかりで、一次開発を終えた段階に過ぎません。来年に向けて、すでに二次開発に入っていますし、まだまだやりきれていないことがたくさんあるんですよ。

――ネットとリアルで集めたPOSデータを活用すれば、これまでにない商品開発、顧客へのリーチ、売り方が可能になりそうです。

データの活用よりも"商品力"を強調する。そのため、対Amazonという見方は適切ではないとする

そうですね。その可能性はあります。去年はこういうブラウスを購入されたので、今年は○○はいかがですか、といったような提案ができるかもしれない。

しかし、我々が「omni7」で重視しているのは商品なんです。お客様は商品を買いに来ているので、商品がいいものであることが一番大事です。

世の中、ビックデータがトレンドワードになっていて、顧客情報をうまく使えば、ニーズのある新しいものが生まれるかのうように言われていますが、我々はそこを狙ってはいません。「セブンカフェ」「セブンプレミアム 金のハンバーグ」などがヒットしましたが、そうしたニーズはデータからではなく、人間が考えていかないと生まれなかったと思っています。過去のビッグデータをひっくり返しても、所詮は過去のニーズなんですよ。

もちろん、新商品を出したあとで、ターゲットにうまくマッチしたかどうかの検証材料としてはデータを使いますが、次に何をやるのかは人間がベースだと考えています。ここが我々にとって根幹になる部分です。

――「omni7」が対Amazonという視点で語られることがあります。

そこは比較しても仕方がないですよ。Amazonに学ぶことはありますが、我々にとっては、ネットで売れなくても、リアルで売れればいいんです。お店で売れなければ、ネットで売れればいいんです。大事なのは商品であって、例えば、セブンプレミアムは年間1兆円の売上を持つ商品力を持っているわけです。ネットの活用をプロモーションとしてしか見ない風潮がありますが、我々は商品力をもって売るんです。最終的には商品がお客さんに受け入れてもらえれば、それでいいんです。