総務省の論点は問題解決につながるのか

当初、安倍首相の発言が伝えられた時は、携帯電話料金全体の低廉化が期待されるかと思ったのだが、提言のふたを開けてみればライトユーザー中心のコストダウンと端末購入補助金の削減が中心で、ヘビーユーザーにとっては肩透かし、あるいはもっと率直にいって改悪と映った人も多いのではないだろうか。第1回から総務省主導でテーマが決まっており、どうにも総務省の思う壺、という感が抜けない。

今回の提言から、確かにライトユーザーが最低でも5,000円代後半の料金を支払うケースは少なくなるだろう。おそらく各社とも、データ容量1GB、通話無制限1,700円で合計3,000円代程度の料金プランを用意してくるのではないだろうか。ただ、これではミドル~ヘビーユーザーにとっては現状と大差ないということになる。

そもそも、そういった低廉な料金体系はMVNOが担当するべきだったはずで、MVNOの仕組みがわかりにくい、あるいはサポートや販売力に差があって普及しにくいというのであれば、そこを解決するような提言があってもよかったと思うのだが、うまいこと論点をずらされたようにも思われる。

また販売奨励金などについても、確かにMNPするたびに数万円が飛び交うような現状は異常だが、同時に「実質0円」はゲームなども楽しめるハイエンドな端末が普及し、アプリや配信といった日本のモバイルサービス市場が、世界に先駆けて大きく成長できた一因ともいえる。そもそも発展途上にあるモバイル端末において、2年というのは最新のテクノロジーを享受できるギリギリの範囲だ。

「実質0円」は、日本がモバイル市場で成長できた一因といえる

最新OSが動かなければセキュリティが維持できるかどうかも疑わしいような状況で、古い端末にしがみつかせるのは、本当にユーザーのためなのだろうか? 少なくとも、販売奨励金がなくなったとして、笑うのは出費が減るキャリアだけだろう。そのぶんが料金に反映される保証もない。