本邦オーディオの名門、オンキヨーとパイオニアのAV部門が事業統合し、新たなスタートを切ったのは2015年3月のこと。ここに取りあげるデジタルオーディオプレーヤー「DP-X1」と「XDP-100R」は、事業統合から約半年という短期間で実現された、オンキヨー&パイオニアイノベーションズとしての大きな成果と言っていいだろう。異なる企業文化の融合は想像を上回るスピードでシナジー効果を発揮し始めた。

パイオニアブランドの「XDP-100R」(左)とオンキヨーブランドの「DP-X1」(右)。XDP-100Rは上下にバンパーが付く

オンキヨー・パイオニア両ブランドから渾身のDAP登場

DP-X1はオンキヨー、XDP-100Rはパイオニアブランドから発売されたが、その設計には共通項が多い。ともに4.7インチ・1,280×1,720ピクセルのタッチスクリーン、クアルコム製2.2GHz/4コアCPU、32GBの内蔵フラッシュストレージとmicroSDスロット×2基(各128GBまで対応)、ESS製のDAC「SABRE ES9018K2M」とヘッドホンアンプに「SABRE 9601K」を搭載し、OSはAndroid 5.1.1。主要コンポーネントも共通化されている。

筐体内基板セパレーション構造

そのこだわりは内部設計に凝縮されている。DAC、アンプ部とCPU部を別基板に実装した「筐体内基板セパレーション構造」を採用。電源ブロックを可能なかぎりオーディオブロックと離してスイッチング電源ノイズのアナログ信号への干渉を防ぐ。しかもアナログ回路はヘッドホンジャックの周辺に集中配置するという徹底ぶりだ。

電源ブロックでは、回路電流を徹底させる「クローズド・ループ・コンストラクション」電源回路設計によりノイズ混入を排除する。ミクロン単位におよぶ配線パターンチューニングは、GND電位変動を極限まで抑え込むためのもの。このように、一見するとスマートフォンだが中身は徹頭徹尾オーディオグレード、という思想がDP-X1とXDP-100Rには共通して存在する。

DP-X1(上)とXDP-100R(下)の右側面。XDP-100Rのほうがボタンはやや大きい

左側面。ボリュームノブにも違いがある

上端。DP-X1には3.5mmと2.5mmの2つの端子がある

下端。XDP-100Rにはスピーカーを用意している