DP-X1とXDP-100Rはここが違う

両モデルとも再生面でのスペックに差はない。DSDは11.2MHz、PCM(FLACとWAV)は384kHz/24bitまで対応するが、本体ヘッドホン出力時のDSD再生はPCM変換となる。DSDネイティブ再生を行う場合は、マイクロUSB経由(要OTGケーブル)でUSB DACへ出力しなければならない。なお、USB経由時のDSD出力形式にはDoPとダイレクト転送のほか、PCM変換も選択できる。

リアルタイムDSD変換機能も用意している。ソースがDSD 11.2MHzのときを除き、MP3といった圧縮音源から192kHz/24bitなどハイレゾ音源まで、すべての音源が事前に設定した条件(DSD 2.8MHz/DSD 5.6MHz、それぞれに高精度モードあり)でリアルタイムにDSDへと変換される。高精度モードは電力消費量が増えるが、S/N比向上効果が期待できる。PCM音源のアップサンプリングにも対応しており、こちらは最大384kHz/24bitだ。

システムにはAndroid OS 5.1.1を採用。GMS認証を取得しているため、Google PlayのほかGmailやYouTubeも利用できる

リアルタイムDSD変換機能を搭載、圧縮音源からハイレゾ音源まですべてをDSDに変換してUSB出力できる

パイオニアのポータブルアンプ「XPA-700」に搭載されたジッターノイズ低減機能「ロックレンジアジャスト」にも対応している

と、ここまでの情報ではDP-X1とXDP-100Rの間に明確な機能差を認められないが、実は決定的な違いがある。DP-X1はフルバランス設計であり、DAC(ES9018K2M)とヘッドホンアンプ(SABRE 9601K)を左右独立で2基ずつ搭載。2.5mmヘッドホンジャックから出力できるのだ。直販価格(税別)でDP-X1が69,800円、XDP-100Rが59,800円となっている理由のひとつがここにある。

DP-X1のバランス駆動は、「BTL駆動」と「アクティブ・コントロール・グランド(ACG)駆動」の2方式をサポート。前者は一般的なバランス駆動だが、後者はバランス駆動で得られるパワーアップ分(COLD側アンプの増幅分)を使い安定性を強化する。かねてからオンキヨーは、ステレオパワーアンプ「M-5000R」を利用し4ch分を2chで駆動させる(※)ことでACG駆動のデモを実施しており、そのノウハウがDAPに応用された形だ。

※バランス駆動では、左右の出力(+、正相)にアンプを接続するだけでなく、それを逆相にしたアンプをグランド側(-)にも接続することで電圧を倍加し、駆動力を高める。正相と逆相それぞれの駆動系を使うため、バランス駆動でステレオ再生(2ch)を行うには計4chのアンプが必要になる。

このように、同じようで大きく異なる「DP-X1」と「XDP-100R」。DP-X1のACG駆動は魅力だが、XDP-100Rの尖ったデザインと値ごろ感にも心惹かれる、という向きも多いはず。実際に触れて聴いてみてどうなのか、両者の"音"に違いはあるのか……そのあたりは後編でじっくり語ることにしよう。キーワードは「バランス接続」だ。

DP-X1はバランス出力も可能。2.5mm端子にバランス接続対応ヘッドホンをつなぐ