11月26日、ヤマダ電機が突如Windows 10 Mobile搭載デバイスを発表した。注目すべきはそのタイミングだ。ヤマダ電機は28日から「EveryPhone」の店頭販売を開始した。先に「FREETEL KATANA 01」を11月30日に発売すると発表したばかりだったプラスワン・マーケティングにしてみれば、鳶(ヤマダ電機)に油揚げ(日本最速発売という冠)をさらわれた気分だろう。

10月14日「Windows 10 Partner Device Media Briefing」の時点で開発を表明していたのは6社

ヤマダ電機が突如発表した「EveryPhone」

11月26日の時点では「KATANA 01」が日本で最初に発売されるはずだった

マウスコンピューターもWindows 10 Mobileを搭載した「MADOSMA Q501A」を12月4日から順次出荷する。また、既存の「MADOSMA Q501」のWindows 10 Mobileアップグレードサービスも開始しており、OTA(Over-The-Air)も後日行われるという。さらに本稿が掲載される11月30日にはトリニティのNuAns NEOの発表会も予定されており、ようやく日本でもWindows 10 Mobileデバイスが本格的に動き始めた。

「KATANA 01」

「MADSMA Q501A」

だが、Windows 10 Mobile搭載デバイスにディスプレイやキーボードなどを接続し、簡易的なPC環境として使用する「Continuum for Phone」に対応するデバイスは見当たらない。これは、Microsoftが定めるハードウェア要件が未確定だったためだろう。11月中旬にようやく仕様を発表.aspx)したが、そのハードルはかなり高い。

Continuum for Phoneを実現可能にするシステム要件

「Continuum for Phone」はMiracastによるワイヤレス接続をサポートする

他方でContinuum for Phoneは接続方法として、ワイヤレス接続をサポートすことが明らかになった。Microsoftの発表会では「Microsoft Display Dock」を強調していたため、ケーブル接続のみと想像していたが、これなら対応するMiracast専用ドングルを持ち運んだ方が快適だろう。このようにMicrosoftは、Continuum for Phoneの接続パターンとして、Miracast専用ドングル、ワイヤレスドック、Display Dockのような有線ドックと3つのシナリオを想定している。

「Microsoft Display Dock」の使用イメージ。ワイヤレス接続のサポートによって新たなアクセサリーが加わるかもしれない

なお、Windows 10 Mobile搭載デバイスとディスプレイは別々の独立したデスクトップとして管理されるが、Windows 10のマルチディスプレイとは異なり、連結していない。つまりディスプレイ間のマウスカーソル移動やウィンドウのドラッグは不可能だ。また、Windows 10 Mobile搭載デバイスとBluetoothでペアリングしたキーボードやマウスは外部ディスプレイに対して動作する仕組みだ。

そのワイヤレスドングルについてのハードウェア要件も定められており、Wi-FiはIEEE 802.11n(802.11acデュアルバンドを推奨)、Miracast必須(Miracast UIBC推奨)といった要件が並んでいる。今後Microsoftは、Display Dockとは別のアクセサリーのリリースを予定しているのだろう。

有線ドックを使用する場合、BluetoothデバイスはWindows 10 Mobileデバイスとペアリング。USBデバイスは有線ドックと接続。ディスプレイとはMiracast接続となる

メインのスマートフォンをWindows 10 Mobileデバイスに切り替えようと考えている読者の方もいるだろう。筆者も現在のiPhone 6から移行するつもりだが、あくまでもContinuum for Phone対応デバイスが日本市場に投入されるまでの"つなぎ"と考えている。各ベンダーのハイエンドモデルが出揃うのと、日本マイクロソフトのLumia国内発売、どちらが早いのだろうか。

阿久津良和(Cactus)