ライトエア イオンフロー50の「スタイル」(左)と、日本の和室に合うようデザインされたという「シグニチャー」(右)。どちらも適用床面積は36畳

ライトエアは11月17日、都内のスウェーデン大使館にて(ライトエアはスウェーデンの企業)、フィルターレス空気清浄機「ライトエア イオンフロー50」の製品説明会を行った。科学誌「ネイチャー」にて発表された、同製品を使用したインフルエンザの空気感染実験についても解説があった。

スタイリッシュな電気式空気清浄機

説明会ではライトエアの代表取締役社長ロジャー・ソヤ氏が登壇。ライトエア イオンフロー50(以下、イオンフロー50)の特徴について解説した。

一般的な空気清浄機は、室内の空気をファンで取り込み、目の細かいHEPAフィルターなどに空気を通すことで、見えない空気中のゴミを除去する。このため、使用後のフィルターは定期的なメンテナンスや買い替えが必要だった。さらに、フィルターの目よりも小さな粒子は除去できないというデメリットもある。

一方、イオンフロー50は「電気(イオン)式」を採用。空気中に大量のマイナスイオンを放出し、アレルゲン物質やカビ、ウイルス粒子に付着させる。イオンフロー50の集じんプレートはプラスの電荷を帯びているため、マイナスイオンが付着した粒子は、磁石に集まる砂鉄のように、プレートに吸着されるという。

「僕のようにカッコいいデザインでしょ?」と、場を和ませるライトエアの代表取締役社長 ロジャー・ソヤ氏

製品上部の三つの円から、大量のマイナスイオンを発生させる

浮遊するマイナスイオンが空気中に浮遊する有害物質に付着し、プラス帯電した集じんプレートに引き寄せられる

引き寄せられる微粒子の様子を、特殊撮影した動画
※音声が流れますのでご注意ください

ファンもフィルターも必要なし

電気式を採用したため、イオンフロー50の最大の特徴といえるのは「フィルター」と「ファン」が必要ないこと。使い続けることで、本体の集じんフィルターは吸着したゴミで汚れるものの、プレートを外して水で洗えば簡単に汚れを落とせる。このため、フィルター交換などが必要なく、半永久的に使用可能だ。さらに、ファンも搭載しないので静音性も高い。

また、従来のHEPAフィルターでは除去できなかった微細粒子まで清浄化できる。一般的なHEPAフィルターが除去できる粒子の大きさは、おおよそ0.1μmだ。しかし、ライトエア イオンフロー50は、その700倍小さい0.007μmの微粒子も、99.9%除去できるという。

ゴミを吸着する集じんプレートは、サッと引き抜いて取り外せる。汚れたら水洗いが可能

2カ月間使用した集じんプレート(左)と、未使用の集じんプレート(右)。汚れたプレートに触ると、煤のような汚れが手についた

ちなみに、たばこの煙は粒子サイズが0.01から0.5μm、冬に猛威を振るうインフルエンザウイルスは0.09から0.17μm、感染力の強いノロウイルスは0.02から0.04μmとのこと。多くの有害物質はHEPAフィルターだけでは防げないが、イオンフロー50ならば、これらの有害物質を効果的に除去できるとした。

1立方センチメートル内に存在する0.007から0.1μmの有害微粒子をグラフ化すると、ほとんどの微粒子はHEPAフィルターでは除去できないのがわかる

会場には、微粒子を2万倍の大きさに拡大したモデルも展示。HEPAフィルターで防げるのは左から2つめの粒子サイズまでだという

2万倍のモデルだと、息を一回吸いこむごとにゴミ袋15個分の超微粒子を吸い込むことになるそうだ

ほかの電気式空気清浄機との違いとは

一般的なマイナスイオン空気清浄機のイオン発生量は、1立方センチメートルにき約7,000個。イオンフロー50は、約61万個のマイナスイオンを作り出せるという

マイナスイオンで空気を清浄する「電気式」空気清浄機は、他社からも発売されているが、イオンフロー50は発生する「マイナスイオン」の量に優位性があるとアピール。従来の電気式空気清浄機が発生するマイナスイオン量は、1立方センチメートルあたり約7,000個。

対してイオンフロー50は、1立方センチメートルあたり約61万個のマイナスイオンを生成する。マイナスイオンには寿命があり、数十秒ほどで減少してしまうのだが、イオンフロー50は減少するマイナスイオンを、発生量を増やすことで補っているとのこと。

また、マイナスイオンを発生する機器の多くは、同時にオゾンを発生させる。オゾンは殺菌や消臭にも利用されるが、高濃度になると人体に悪影響があるといわれている。しかし、イオンフロー50は酸素からマイナスイオンを生み出す方式のため、オゾンの発生がない点も強調した。

大量のマイナスイオンでパワフルに空気を清浄。会場に行われた実験では、煙で満たしたアクリルボックスが、5分ほどでキレイになった

インフルエンザ空気感染実験

説明会では、ライトエアの事業開発ディレクター、ジュリアン・リー氏による、イオンフロー50を使用したインフルエンザの空気感染実験についての解説もあった。実験は、インフルエンザに感染したモルモットAと、健康なモルモットBを異なるケージに入れて、同じ部屋に24時間置くというもの。モルモットAとモルモットBは接触していないにも関わらず、健康なモルモットBの4匹中3匹はインフルエンザに感染していた。しかし、同じ実験をイオンフロー50を動作させた環境で行ったところ、モルモットBは1匹もインフルエンザに感染しなかったという。

モルモット実験について解説するリー氏。イオンフロー50未使用時は4匹中の3匹がインフルエンザに感染したが、イオンフロー50を使用した環境では1匹も感染しなかった

リー氏によると、これは世界最大級の医学系単科教育研究機関・カロリンスカ研究所で行われた実験で、ライトエアからの資金提供などは一切ない学術的な研究結果だとした。この実験結果は、科学誌「Nature」のオンライン定期刊行物「Scientific Reports」にて発表されている。

実験により、空気中に浮遊するウイルスの感染能力が低下したのは、ウイルスが集じんプレートに集められるからではないとわかった。マイナスイオンが付着したウイルスは死んでしまうため、空気中のウイルスが無力化されるのだという。ただし、この理由についてはいまだ研究段階のため、詳しいメカニズムはわかっていない。あくまで実験結果の1つとも付け加えた。

ウイルスの空気感染能力が97%低下したのは、ウイルスが集じんプレートに集められたからではなく、マイナスイオンが付着したウイルスが死滅するため