目玉はOC機能を1つにまとめた「OC Panel」

Z170A XPOWER GAMING TITANIUM EDITIONの目玉機能は「OC Panel」だ。オーバークロックに関する操作を行う各種のボタンが搭載されており、マザーボードに装着する、あるいは付属のケーブルで有線リモコンとして活用できる。

OC Panelはマザボードへ直接着脱できるほか、付属のケーブルによる延長に対応している

基板上の各種ボタンは順に、BCLKの±、CPU倍率の±、電源/リセットボタン、マザーボード上の電圧を開放する「Discharge」ボタン、液体窒素冷却で用いる「Slow Mode」ボタン、再起動時にBIOSに進入する「GO2BIOS」ボタンといった具合に配置されている。LCD表示などはないが、オーバークロックで主に行う操作と機能が統合されている。

なお、各種電圧やメモリ関連/統合GPU関連のOCなど、詳細なOC操作はWindows上のOCツールや、主にBIOSにて行うことに変わりはない。OC Panelの操作は、例えば電圧などをBIOSであらかじめ設定しておき、成功しやすいやや低めの倍率/BCLKで起動し、そこから限界を見極める作業などで活用することになるだろう。また、Slow ModeボタンやGO2BIOSボタンなど、作業の手間を省いてくれる便利なボタンも使用頻度が高そうだ。 OC Panelは、比較的上級者向けの機能だが、一方でカジュアルOCをするユーザーにとっても便利な機能が備わっている。それはGAMINGモデルにも搭載されている「Game Boost」スイッチだ。ボリューム0が定格で、1/2/4/6/8/10/11という目盛りが用意されており、それぞれCPU倍率やそれぞれに適した電圧などがプリセットされている。

Game Boostと呼ぶハードウェアボタンにより、簡単にOCプリセットが適用できる。ちなみにメモリが11まであるのは、映画「Spinal Tap」のオマージュであろう

Intel Core i7-6700Kの場合で、目盛り11にセットした場合、クロックは5GHzになる。もちろん、CPUそれ自体にもコアのOC耐性があり、合わせてCPUクーラーの性能にも左右されることから、必ず成功するとは言えないが、メーカーで検証済みの設定が簡単に適用できるため、チャレンジしてみる価値はある。

「OC Panel」を使ったオーバークロックにチャレンジ

ではZ170A XPOWER GAMING TITANIUM EDITIONとIntel Core i7-6700Kを用いてオーバークロックにチャレンジしてみよう。

まず、おおよその見当をつけて倍率とCPUコア電圧を設定するわけだが、その参考となるのがGame Boostだ。Core i7-6700Kなら、Game Boostで最大5GHzまでのプリセットが用意されている。もちろん、CPUの個体差やシステムによって、動作する場合としない場合がある。

Game Boostはソフトウェアからも設定可能。各レベルと動作クロックの相関はこちらを見れば簡単に把握できる。今回無事に起動できたのはSet 8まで

今回、CPUの冷却には240サイズのラジエータを搭載する簡易水冷キットを用意したが、なかなかうまく冷やせずに苦労した。Game Boostのプリセットで無事動作したのはSet 8の4.8GHz。この時のCPUコア電圧は1.5V程度だった。これを記憶し、BIOS上で倍率とCPUコア電圧を設定し、その後はOC PanelでのOCにチャレンジしてみた。

OC PanelからはCPU倍率とBCLK双方が設定できる。まずはCPU倍率で49倍、4.9GHz駆動を目指したが、OSは起動するものの、CINEBENCH R15は「運が良ければ」完走するという程度。安定動作とは言えない状況だった。

そこで、倍率は48倍のままBCLKを引き上げる手法でのOCを試してみた。こちらで成功したのは102MHz×48倍の4.896GHz。49倍の4.9GHzとはわずかに4MHz違いだが、CINEBENCH R15はパスできた。ただしCPU温度はCore #0やパッケージで98℃に達しており、今回の場合、冷却性能が足りていないためにクロックが伸び悩んだようだ。

BCLK:102MHz、倍率48倍での4.896GHz駆動時のスクリーンショット。CINEBENCH R15では、CPUスコアが1000を、Single CPUスコアが200を超えた

なお、CPU温度を下げるためにアンコア部分の電圧を引き下げたらどうかと試してみたが、温度はほぼ同じでむしろ安定性に影響が出たため、このあたりが限界と判断した。 このように、Z170A XPOWER GAMING TITANIUM EDITIONでは、Game BoostとOC Panel、そのほかソフトウェアによるOCなどさまざまな手法を組み合わせて、CPU(とCPUクーラー)の限界を探っていくことができる。