XR8iの詳細と試聴インプレッション

XR8iは、ツイーターにBA型の「KG-723」、ウーファーにはダイナミック型ドライバー「KG-065」を各1基搭載したハイブリッド型モデル。ウーファーのKG-065は、ImageS4シリーズから採用されてきたダイナミックドライバーの後継だ。前述したとおり、AcuPassのローパスフィルターの働きにより不要な中高域をカット。ウーファーとツイーターを違和感なくつないでくれる。

内耳部分には装着感に優れる亜鉛ダイカスト、外耳部分には一体成型されたエラストマー複合材を配する二層構造のハウジングを採用したこともポイントだ。X20iと比較すると大柄に見えるが、重量差はわずか3gアップの25g、長時間のリスニングにも耐えられる。

その音は、有り体にいえば低域重視だが、ただ単純に強調しているわけではない。ダイナミック型ドライバーらしい量感ある低域を楽しませてくれる一方で、AcuPassテクノロジーに基づくフィルターの効果で中高域をカットするため、キレのよさが保たれる。一般的な2ウェイ構成と比較すれば雑味が少なく、すっきりとした印象がある。

とはいえ、BA型のKG-723とダイナミック型のKG-065ではテイストがやや異なる。BA型ならではの解像感と、ダイナミック型らしい豊かな低域の組み合わせを狙ったハイブリッド型インナーイヤーは、市場でここ数年立て続けにリリースされているが、特性が異なるだけに汽水域のような印象を完全には拭い去れない。いつかはブレンデッドウイスキーのように相乗効果をもたらすモデルも現れそうだが、試行錯誤はもうしばらく続きそうだ。

Klipschでは初めてのダイナミック+BAのハイブリッドモデル

デザインは他の新モデルと一線を画す

BA型ツイーター「KG-723」の周波数特性

ダイナミック型ウーファー「KG-065」の周波数特性