JVCブランドから登場した「SIGNA(シグナ)」は、ハイレゾ対応のオーバーヘッド・密閉型ヘッドホンだ。SIGNAというラテン語で「旗印」や「基準」を意味するシリーズ名は、ヘッドホンの新潮流を創り出そうという意思表明なのだろう。あわせてハイクラス・ヘッドホンシリーズ「CLASS-S」が立ち上げられたことも、その意気込みの現れと理解したい。

オーディオの老舗・ビクターのキャッチコピーといえば「原音探究」。以前と比較すると、オーディオ新製品の数と種類は少なくなったが、フルレンジのウッドコーンスピーカーが印象的なコンポーネントシステム「EX-HRシリーズ」など意欲的な製品をリリースしてきた。JVC KENWOODの一ブランドとなった現在も、音作りの基本姿勢は原音探究で一貫している。

SIGNA 01。推定市場価格は税別45,000円前後

今回SIGNAシリーズとして発表された製品は、「01」と「02」の2モデル。新開発のPEN振動板やユニット背面の空気の動きをコントロールする「クリアサウンドプラグ」、ハウジング内に中高域用キャビティを配した「シーケンシャル・ツイン・エンクロージャー」など基本部分は共通で、どちらもケーブルは片出し。再生周波数帯域は8Hz~52kHzと差がなく、デザインも一見しただけでは違いに気付きにくい。

イヤーパッド側から見たSIGNA 01のドライバーユニット。新開発のPEN振動板が透けて見える

しかし、相違点も少なくない。ドライバーユニット前後に配されたマグネットはそれぞれ磁力が異なり、「01」が3枚で「02」が2枚。「01」にのみ、バッフルの不要な振動を抑制してドライバーの能力を引き出す「アンチバイブレーションリング」が装備される。

SIGNA 01分解図

SIGNA 02分解図

リケーブルでグラウンド分離接続/バランス駆動が可能

注目したいのはケーブルだ。付属ケーブルのプラグはユニット側が4極ステレオミニ、入力側が3極ステレオミニとなっており、一般的なアンバランス接続だが、実はグラウンド分離接続/バランス駆動が可能だという。しかるべきケーブルを用意し、グランド分離接続/バランス駆動に対応した製品と組み合わせれば、SIGNAの表現力をさらに引き出すことができる。いわゆる「リケーブル」の楽しみがあるという点でも、ポータブルオーディオファンに注目の製品といえるだろう。

ヘッドフォン側が4極、入力側が3極の着脱可能なステレオミニプラグケーブルが付属する