新ルールの提案

Green500の電力測定には3つのレベルと4つのアスペクトが定義されている。次の図に示すように、Level-1はベーシックで、現在、Green500リストに載っている大部分の結果はLevel-1の測定結果である。Level-2はかなり努力した測定、Level-3は最良の測定である。

そして、Aspect-1は電力を測定する頻度とどこまでの精度で測定するかであり、Levelが上がるごとにより詳しく、精度の高い測定が要求される。Aspect-2はシステムのどれだけの部分を測定するかで、これもLevelが上がるごとにより多くの部分を実測することが要求される。Aspect-3はどこまでのサブシステムを含めるか、Aspect-4はどこの点で電力を測定するかで、レベルが上がるごとに、より電力会社からの給電点に近い位置で測定して、電源分配系のロスも消費電力に含むことが要求される。

電力測定には3つのレベルと4つのアスペクトがあり、レベルが上がるとそれぞれのアスペクトで要求される測定の精度が高くなる (以下の図は、ISC 2015でのErich Storhmaier氏の発表スライドが出典である)

今回の改定はレベル-1の測定精度を改善することが主目的で、電力の測定期間は、現在の20%の期間から、HPLのコア計算期間全体の平均電力を測定するというルールに変更される。

通常、電力計は全期間の電力を測定しているので、これで測定が難しくなることはなく、終盤の電力を意図的に下げてスコアをあげるという小細工を封じたのは良い改定である。

測定するノード数は、現在の1/64、かつ、1kW以上から、システムの1/10、2kW以上、あるいは15ノードのどちらか大きい方という規定に変わる。測定するノード数が増えるので、正しいシステム電力値に近づく方向であるが、低電力ノードだけを集めて測定されるとあまり効果が無いのではないかと思われる。

測定するコンポーネントの範囲は、現在は計算ノードだけであるが、これをネットワークコンポーネントを含むように改める。これは当然の改定である。

改定提案の趣旨はレベル1の改善であり、電力の測定期間、測定するノード数、どの範囲のコンポーネントを含むかの変更が提案されている

その他の変更点としては、電力を測定する機器の精度を規定する。レベル-1では5%の精度、レベル2では2%、レベル1では1%である。現在は認定された電力計が決まっており、国産では「Hioki 3334」がリストに入っているのであるが、測定器メーカーが精度を保証していれば、このリストに入っていなくても使用できるようになるのであろうか? なお、Hioki 3334は基本的な精度は±0.2%となっており、どのレベルでも問題なく使用できそうである。

また、各レベルで使用する電力計の精度も規定する

今回の改定が実施されると、レベル-1測定の精度はかなり改善され、ランキングの信頼度が向上する。

まだ、抜けていると言えるのが、冷却電力である。しかし、冷却電力は、夏場と冬場では変わってくる。Environmental Factorsはこのような要素を考慮に入れるのであろうか?

この改定の実施であるが、8月中には公表し、11月のSC15でのGreen500リストの発表に対するサブミッションから適用するという予定であるという。

この改定は8月中に公表し、次回のGreen500(11月15日のリスト)への応募から適用の予定