フィンランドのNokiaは現地3日、デジタル地図・位置情報サービス「HERE」をAUDI、BMW Group、Daimlerの3社に売却することを発表した。金額は28億ユーロ。自動車メーカーらは自動運転車の重要な技術としてHEREを活用する。

HERE利用イメージ

HEREは、Nokiaが2007年に買収したNAVTEQ、2006年に買収したルートプランニングの独Gate5などの技術を土台とするデジタル地図、ナビゲーション、位置情報サービス。約200カ国の地図を持ち、90以上の国で音声ガイドによるナビゲーションを利用できる。このほか、多数の国で渋滞情報、屋内地図なども利用可能。Microsoftのスマートフォンのほか、Android、iOSなどのモバイルプラットフォームにも対応しており、Samungもユーザーの1社となっている。BMW、Oracleなどの企業顧客も持つ。

デジタル地図事業は、携帯電話で利用するサービスを強化するという当時のNokiaの戦略に基づくものだった。その後、Nokiaは携帯電話事業をMicrosoftに売却し、無線インフラ、HERE、知的所有権と先進技術開発の3事業部を柱としてきた。4月には、主力の無線インフラ事業をさらに強化するために競合のAlcatel-Lucentの買収で合意、それに合わせHEREについては戦略的選択肢を模索することを発表していた。

今回、AUDI、BMW Group、Daimlerのドイツ自動車メーカー3社によるコンソシアムが取得し、同じ比率で経営にかかわる。HEREを取得する理由として、HEREが提供するリアルタイムの地図や位置情報が重要になるとの考えを示している。「HEREは次世代のモビリティと位置情報ベースのサービスの基礎技術を提供するが、これは自動車業界にとっては新しいアシスタントシステム、それに完全な自動運転車の土台となる」と3社は述べている。

一方で、HEREの事業運営は独立した形をとり、あらゆる顧客が利用できるプラットフォームとして提供を継続するという。取引は2016年第1四半期に完了を見込む。