iOSデバイスの"長寿命化"が意味するところ

iOS 9がサポートするデバイスのリストを見て、少々驚いた。リストから外れるものと予想していたiPhone 4sとiPad 2の名前が、そこにあったからだ。これは、iOS 9のシステム負荷レベルがiOS 8と同等であることを意味する。iOS 9は、Appleが許容できないほどには重くなっていないのだ。

iOS 9では、2011年発売のiPhone 4sとiPad 2もサポートされる

この"延命措置"は意味深だ。iPhone/iPadの登場以来、ほぼ一貫して約4年でiOSでのサポートを終えてきたが、これまでどおりOSのメジャーアップデートが1年間隔であれば、サポート期間が1年延びる。次期OS(iOS 10?)でいちどにiPhone 4sとiPhone 5をドロップさせる可能性もゼロではないものの、たびたび製品ライフサイクルを変更するとは考えにくく、製品保証期間はともあれ今後は「5年」がOSレベルでのサポート期間として定着するのではないか。

iOSデバイス長寿命化の理由だが、Apple Watchの登場と無縁ではないはず。iOSデバイスの耐用年数を4年から5年にすれば、ユーザの可処分所得が一定だとしても、その浮いた1年分+αをApple Watchに充てられる、というわけだ。買い替え需要の低下に伴う売上減はApple Watchでカバーしよう、という算段も成り立つ。今後Apple Watchに開発の軸が移動する可能性からすると、ありえない話ではない。

もっとも、毎日充電するデバイスの内蔵バッテリーが5年もつとは考えにくく、Apple Watchがそこまで売れるという保証もない。iOS 8の時点でキビキビ動くとはいい難いiPhone 4s/iPad 2が、Appleの重視する「エクスペリエンス」を低下させてしまう懸念すらある。いずれにせよ、例年どおりであればハードウェア新製品が発表される9月の動きに注目したい。 

デバイスの長寿命化の一方、iPadで大幅に強化/拡張されたマルチタスク機能が完全サポートされるのはiPad Air 2のみとされた