スマートフォンは私たちの生活の様々な部分に変化をもたらしています。その変化はどんなふうに生み出され、どんなふうに活用されているのでしょうか。今回は、最近急速に利用が増えているフリマアプリに注目。その先駆けである『Fril』を開発・運営するFablicの代表取締役社長 堀井翔太さんにお話しを伺いました。

Fablic 代表取締役社長 堀井翔太さん

フリマアプリ『Fril(フリル)

ネットオークションがスマートフォンの世界に来たら

Frilは、簡単に言えば個人と個人がものの売り買いをする場を提供する、いわゆる"フリーマーケット"がスマートフォン上でできるアプリ。スマートフォンで写真を撮って出品し、購入・決済までを行うことができます。堀井さんはもともとフィーチャーフォン向けモバイルインターネット関連の仕事に携わっていた頃から、女子大生・女子高生といったモバイルインターネットを使いこなす若い女性が、自分のブログやmixiのコミュニティなどで衣類やファッション雑貨を売る様子を目にしていたそうです。

毎日数万点のアイテムが出品される

お気に入りブランドやユーザーをフォローして、好みのものを見つけやすく

一方、ネットオークションはそもそもPC自体を持ってない方も多く、出品に費用がかかったりと、多くの人にとってインターネットでモノを売る行為は敷居が高く感じられるものでした。また、フィーチャーフォン向けオークションは商品画像をメールで添付して送信するというスマホ時代から比較すると操作性は決して良くはありませんでした。

堀井さん 「PCのネットオークションや、フィーチャーフォンのモバオクのような世界観がスマートフォンに移行した時にどうなるのかを考えたことが、Frilを作ったきっかけです。実際に、オークションサービスを使わずにものを売り買いしている女の子がたくさんいたことも、チャレンジしたきっかけです」

Frilは女性をメインターゲットにしており、ファッション関連の出品が非常に多いことが特徴。また、ユーザーを「フォロー」する機能があり、好みの合うユーザーの出品をウォッチしやすいことも好評です。出品や購入の際のインタフェースも、初心者でも順を追って迷わず作業を進めていくことができるようになっています。

堀井さん 「弊社ではユーザーインタビューをこまめに行っています。デザインについてはプロトタイプの段階で見てもらったり、クォリティの検証も実際のユーザーに行ってもらいます」

手順を追って誰でも簡単に出品ができるインタフェース

ハンドメイドのアクセサリーや雑貨を出品する人も多数

同社に常駐する約40人のカスタマーサポートスタッフは、全員がもともとFrilのユーザーだった人たち。アプリのメジャーアップデート前には本番と全く同じ環境をスタッフのスマートフォンにインストールし、実際に使ってバグを検証する工程を欠かさないそうです。

オークションとは文化が違う「フリマ」のユーザー

これだけカスタマーサポートスタッフを充実させているのは、毎日数百件にのぼるユーザーからの問い合わせに対応するため。アプリの操作方法だけでなく、商品が届かないといった取引上の問題についても問い合わせが寄せられます。ただ、こうした問い合わせは当初から織り込み済み。サポートの充実もそれを見越した対策と言えます。また、トラブルをどう防ぐかについては、サービスの設計段階から慎重に検討されてきました。

堀井さん 「フリマアプリは個人と個人がやり取りするため、お金のやり取りが一番のネックになります。先にお金を振り込むと商品が届かないケースも出てくると思ったので、いったんは私たちがお金をお預かりし、商品が届いた時点で出品者に振り込まれるという仕組みにしました」

出品者・購入者の手順を写真入りで照会

アイテム別の梱包方法や発送の仕方も丁寧に説明

便利な機能を増やしていくばかりではなく、ユーザーテストで挙がった声に対する細かい配慮も行っています。例えば、「何を売っているのか友達に知られたくない」という声に対応し、アプリ内のユーザー名検索やSNS連携機能は実装していません。

こうした使いやすさや安心感から、オークションは難しくて使えなかったという人たちがFrilを始めるケースが多いとのこと。PCもデジカメも画像編集もHTMLも不要で、お金のやり取りはサービスが仲介してくれる。つまり、インターネットオークションの技術的な難しさをスマートフォンとアプリが解決してくれた形です。

かつて、ブログやSNSが普及して個人が発言する敷居が下がった時と同じように、スマートフォンとフリマアプリの普及により「個人がものを売る敷居が下がった」と堀井さんは言います。

いつもフレッシュで、欲しいものが見つかる場所へ

現在、Frilには毎日数万件が出品され、数万件が購入される状況が続いています。多数の商品の中から欲しいアイテムを探し出すための検索機能は特にアップデートの注力ポイント。好きなブランドを検索・フォローできるブランドリストは現在2,000件近くに登り、毎月更新されています。また、「いいね」をつけたアイテムの値下げ通知機能や、保存された検索条件で新規出品をウォッチする機能なども実装を計画中。

ブランドリストはカジュアルからハイブランドまで2,000件近く

検索条件を保存して欲しいアイテムを簡単に検索

アプリサービスはリアル店舗と同じく、形が出来たところが完成でなくスタートです。新鮮さを維持するにはモノの入れ替わりだけでなく、場の新しさも必須。そうした"活気"に敏感なおしゃれで買い物上手なユーザーがいち早くFrilに集まり、それがまた新たなユーザーを呼んでいます。女性のファッションへの貪欲さは無限大。Frilはそれを栄養に新たなモバイル的文化を育む土壌になっています。