iOSデバイスから、ホストPCをリモート操作
冒頭で述べたようにIchiGeki氏は、iOS用リモートデスクトップアプリケーションとして、KeroRemote以外にも「Orthros」をリリースしている。WindowsマシンでSiegfriedサーバーを起動しておくと、いずれのクライアントからも接続できる。今回はKeroRemoteをiPadにインストールして接続を試みたところ、拍子抜けするほど簡単にリモート操作が可能だった。スワイプ操作でソフトウェアキーボードや操作ボタンを呼び出せば各種の操作を実現できるが、アプリケーション内にヘルプなどが用意されていないため、各種コントロールの消し方に慣れるまで時間を要するのは少々残念だ。
Siegfriedを使用する上で留意すべきは、Windows標準のリモートデスクトップ接続とは、接続方法が異なる点である。リモートデスクトップ接続はWindowsのセッションを利用しているため、サーバーがWindows 8.1などクライアントOSの場合、同時接続可能セッション数が制限されてロック状態となる。
一方でSiegfriedは、デスクトップの映像や音声などを圧縮転送しているため、クライアント側の操作はそのままサーバー側に逐一反映する仕組みだ。そのためSiegfriedによるリモート接続時は、サーバー側の負荷も高まり、アプリケーションによっては応答性が低下する場合もあることを踏まえて使ってほしい。
「ルーター超え」のリモート接続も可能
最後に外出先からSiegfriedの接続を確認してほしいと編集部から指示を受けたため、検証結果を報告しよう。SiegfriedはIPアドレスとTCPポートさえあれば接続できるため、ルーター側でNAT(Network Address Translation)設定を行えば簡単そうだが、今回は集合住宅向けISPからVPN経由でフレッツ光接続したルーターへ接続。その上でSiegfriedのリモート接続を行ったが、もちろん問題はない。
試しにスマートフォンとノートPCをBluetoothでつなぎ、通信キャリアのネットワークでNAT設定を行ったルーター経由で接続したが、こちらもリモート接続の成功を確認している。もっともNAT設定はセキュリティリスクも発生するため、特に問題がなければVPN接続を用いることをおすすめしたい。
なお、今回取り上げたSiegfriedは圧縮率に特化しており、パフォーマンスを優先するのであれば「Brynhildr(ブリュンヒルデ)」と試してほしいとIchiGeki氏は説明している。
阿久津良和(Cactus)