一方で、白物家電事業は、これまで2018年度までに2兆円としてきた売り上げ目標を2兆3,000億円と上方修正した。2014年度見通しに比べて16%増と2桁増を見込む。

3月23日に国内で発表した最上位炊飯器「Wおどり炊き」

津賀社長は、「アプライアンス社において、マーケティング機能を組み込むなど、新たな枠組みとした結果、2兆3,000億円になったまでの話。これまでの2兆円の目標とそれほど違いはない」とするが、これまでは明確にしてこなかった2018年度の売り上げ目標の地域別内訳を公表。「成長のコアになるのはアジアと中国になる」と位置づけてみせた。

2018年度における日本市場の売り上げ計画は1兆円規模を想定。2014年度見通しと比べてもわずか3%増の成長率としたほか、欧米は4,000億円で同8%減とマイナス成長を見込む。これに対して、海外戦略地域は同60%増の9,000億円と高い成長を見込んでいる。

アジア、中国など海外戦略地域で60%増の成長を見込む

「海外戦略地域においては、きちっとした組織を作り、戦略投資枠を活用して、宣伝、マーケティングに投資をしていく」とする。その組織が4月に設立するAPアジアおよびAP中国ということになる。

APアジアでは重点国として、ベトナム、インドネシア、フィリピンをあげ、「日本のメーカーならではの『Japan Premium』商品によって、憧れを生み出すような戦略的なマーケティングを展開していくことになる」とする。

一方でAP中国では、中国の富裕層にターゲットを絞り込み、プレミアム商品に開発リソースを集中させる展開を行う。これまでにも、日本のモノづくりを生かした展開は行ってきたが、今回の取り組みは、現地の組織に対して、大幅に権限を委譲する点がこれまでとは違う。日本からオペレーションを行うのではなく、現地主導で開発、製造、販売を行う。いわばミニパナソニックともいえる組織が、それぞれの地域に生まれることになる。

津賀社長は、「パナソニックは、プレミアムゾーンおよび中級以上のゾーンに対して、本気で品揃えができていなかった。いや、やっていなかったといった方が正しいだろう。いままでは日本に過度に注力しており、海外で戦えるラインアップが揃っていなかったともいえる。そこからしっかりとやっていく」とする。

先に触れたように、2018年度における地域別構成比では、日本が1兆円に対して、インドや中国を含む海外戦略地域が9,000億円。ほぼ匹敵する規模を構成する。また、欧米を含めると海外売り上げ比率は、家電事業の過半数を占める。日本を中心に展開してきたこれまでのパナソニックの家電事業にはなかった事業構造へと挑戦することになるというわけだ。

成長戦略においては、車載関連事業、住宅関連事業などのBtoB事業に注目が集まるが、家電事業においても、これから大きな変革へと挑戦することになる。パナソニックグループにおいて、最も意識改革が必要な事業が、家電事業だといえるかもしれない。