実技競技1「酵素の濃度を決める」

1つめの実技競技は化学実験だ。この実験では、アミラーゼ酵素水溶液、デンプン溶液、ヨウ素溶液などを使用する。濃度が分からないアミラーゼ酵素水溶液が3本用意されているので、マイクロピペットという特殊な器具も使いながら、この濃度の比率を求めるのが課題だ。

濃度が違う3つの酵素水溶液。この濃度の比率を求めるのが課題

マイクロピペットは、1マイクロリットルを計量できる器具だ

デンプン溶液にヨウ素を入れると紫色に変色する。これがヨウ素デンプン反応だ。小学生のときに、ジャガイモなどで実験したことを覚えているだろうか。一方、アミラーゼ酵素は、デンプンを分解して糖に変える。この酵素は人間の唾液などに含まれているものだ。

デンプン溶液とアミラーゼ酵素水溶液を混ぜた場合、酵素の濃度が高ければ、デンプンをたくさん分解するため、ヨウ素デンプン反応の色は薄くなる。色の濃淡から、濃度の違いが分かるわけだ。濃度の比率は、2:1、4:1、6:1、8:1、10:1のいずれかと決まっているので、濃い方のアミラーゼ酵素水溶液を2倍、4倍、6倍、8倍、10倍に希釈したものと比較すれば、そのどれかと紫色が同じになる。そこから、濃度の比率を求めることができる。

酵素の濃度が違えば、デンプンの濃度も変わり、色の濃さが変わる

ヨウ素デンプン反応の濃さを比較しているところだろうか

この競技で難しいのは、自分たちで実験の計画を立て、結果を考察するところまで行うということだ。中学校の授業では普通、そこまではやらないそうなので、ちょっと苦労したかもしれない。濃度の比率を出すところまでは多くのチームができていたのだが、時間が足らず考察までやれなかったチームも多かったようだ。