VAIO Zは「究極の道具」

新しいVAIO Zの概要については、商品プロデューサーの伊藤氏が説明を行なった。PCにとって最も重要なのは、ユーザーの生産性と創造性を引き出すことだと説明。最高のアウトプットを作り出したい人のために、研ぎ澄まされた究極の「道具」を届けたいという想いから、VAIO Zが企画されたと語る。

VAIO株式会社、商品プロデューサーの伊藤氏

ソニー時代にも存在した「VAIO Z」という名称を使った理由については、ユーザーからVAIO Zの復活を望む多くの要望があったことから採用したと説明。ソニー時代ではアルファベット最後の文字であることから「最終形」の意味で使っていたが、新しいVAIO Zの「Z」では「ゼロ(Zero)」の意味も持たせたとし、VAIO株式会社にとっての始まりとなる製品であることを強調した。

従来市場にはない、高いパフォーマンスと優れたモバイビリティを持つPCがVAIO Zのコンセプトだ

伊藤氏はVAIO Zの特徴として、「圧倒的なレスポンス」と「1日中、どこでも完璧な仕事ができる」点、そして「ユーザーの新たな可能性に応えられる」ことの3点を取り上げた。

まず圧倒的なレスポンス、つまり快適な操作感を実現するために、Broadwell-Uシリーズのなかでも処理能力の高い28W版のCore i7/Core i5を採用。広く使われる15W版のCore i7に比べて、高い性能を実現しているという。

またCPUが内蔵するIntel Iris Graphics 6100は、Haswell世代の15W版Core i7に搭載されていたIntel HD Graphics 4400よりもパフォーマンス面で優れていると説明した。

新しいVAIO Zの3つの特徴

計算性能とグラフィックス性能に優れる28W版のCore i7/Core i5を採用している

またVAIO Zの高いパフォーマンスは、VAIO株式会社が持つ「高密度実装技術」と「熱設計技術」によるものだと説明。このふたつのコア技術を合わせて「Z ENGINE」と呼んでいるとのこと。もちろん、Z ENGINEが筐体の小型化にも大きく影響している。

VAIO Zのコア技術となる「Z Engine」は、VAIO株式会社独自の「高密度実装技術」と「熱設計技術」からなる

旧モデル「VAIO Fit 13A」に比べて、マザーボードのサイズを65%に縮小。VAIO株式会社独自の「高密度実装技術」によるものだ

ふたつの流体動圧軸受けファンと極薄型高効率ヒートパイプにより、高い放熱性を実現している

モバイルノートとしての優れた携帯性としては、JEITA 2.0で15時間と長時間のバッテリー駆動を取り上げた。VAIO株式会社はバッテリーユニットを設計できる数少ないメーカーのひとつであるとのこと。

VAIO Zではケースのないバッテリーを採用することでユニットの容積を減らし、そのぶん容量を増やすことで58Whの大容量化を実現しているという。またボディにアルミ素材とUDカーボンを利用することで高い剛性を確保しているほか、静音キーボードやsRGBカバー率100%の液晶ディスプレイを採用。持ち運び時の信頼性や外出先での作業の快適さを実現している。

15時間(JEITA 2.0)のバッテリー駆動を実現。バッテリーのケースを省くことでスペースを確保し、そのぶんを容量の増加にあてている

sRGBカバー率100%でデスクトップ向けの液晶ディスプレイと同等クラスの画質を実現。さらに大型のスピーカーを採用している

キーボードの桟とパームレストを一体化したアルミ素材のフレームを採用(写真左)。ブラスト加工により、高い質感を実現している。また底面部には軽さと強度を両立したUDカーボンが使われている

キーボードの打鍵感の追求した上で、タイプ時に発生する2Khz以上のノイズを低減することで静音化を実現。さらにタッチパッドのクリック感を高めるために1mmのマイカ(雲母)を採用している

そして「ユーザーの新たな可能性に応えられる」ために採用されているのは、VAIO Fit Aシリーズでも採用されていたマルチフリップヒンジだ。

このギミックの優れている点は、クラムシェル型ノートPCの使いやすさを損なわない点にある。ノートPCの生産性の高さを担保した上で、タブレットモードやプレゼンモードといった新たなスタイルでユーザーの可能性を広げるという。

液晶ディスプレイを180度回転させることでタブレットとしても利用できる「マルチフリップヒンジ」を採用

2-in-1スタイルを採用している点については意見がわかれるところかもしれないが、伊藤氏は昨今の軽量薄型を重視した2-in-1 PCではなく、ユーザーがより気持ちよく、スタイリッシュに使いこなせることを意識していると語った。

VAIO Zの店頭予想価格は190,000円(最小構成価格・税別)から。本体カラーはブラックとシルバーの2色で、16日の15時から受注を開始している。

CPUやメモリ、ストレージの種類を選択できるCTO形式を採用。最小構成時の市場想定価格は税別190,000円からとなっている

もうひとつのVAIO Z、「VAIO Z Canvas」が5月発売

会場ではVAIO Zに加え、タブレット型の「VAIO Z Canvas」も発表された。これは2014年11月に「VAIO Prototype Tablet PC」として先行公開された試作モデルで、今回は商品化されたという発表のみ。詳しいスペックについては、今後発表される見通しだ。発売は5月を目標とし、市場想定価格は20万円台後半を予定している。

「VAIO Prototype Tablet PC」の正式名称は「VAIO Z Canvas」に決定された

VAIO Z Canvasを手にする伊藤氏。タブレット本体と付属キーボードで構成されている

「Canvas」という名称には、なにもない「無」の状態から創造するためのデバイスという意味が込められている

現時点で公開されている「VAIO Z Canvas」の特徴。CPUはCore i7 Hプロセッサーで、グラフィックス機能はInte Iris Pro Graphics。SSDの容量は1TBで、液晶ディスプレイはAdobeRGBカバー率95%を実現している