東京都・目黒の東京都庭園美術館にて、「幻想絶佳:アール・デコと古典主義」展が開催されている。開催期間は4月7日まで(第2、4水曜日は休館、祝日の場合は開館し、翌日休館)。開館時間は10:00~18:00(入場は17:30まで)、入場料は一般1,200円、大学生(専修・各種専門学校含む)960円、中高生・65歳以上600円。

ウジェーヌ・ロベール・プゲオン「蛇」1930年頃 (c)Musee La Piscine (Roubaix), Dist. RMN-Grand Palais / Arnaud Loubry / distributed by AMF, Achat de l'Etat 1930

同展は、20世紀前半に流行した装飾様式「アール・デコ」の世界を紹介するもので、フランスの美術館所蔵品を中心に、33人の作家による家具、磁器、銀器、ガラス、ドレス、絵画、彫刻など、約80点の作品を展示。歴史ある建造物と美術作品、庭園が一体となった、同美術館ならではの展覧会となっている。

急速にモダンに変貌していく都市のなかで、人々はアール・ヌーヴォーに退屈し、古代ギリシア・ローマを規範とした「古典主義」に新しい関心を向けていく。彫刻家のブールデルや画家のモーリス・ドニら、その時代の重要な芸術家たちも同様で、フランスの装飾美術界では時代にふさわしい「新様式」を模索する動きが生まれ、1925年に開催された「アール・デコ博覧会」を経て、モダンに洗練された古典主義様式のアール・デコとして成熟していった。

2014年11月22日にリニューアルオープンした同美術館本館(旧朝香宮邸)は、1933年の建設当時、フランスのアール・デコ様式を日本で本格的に取り入れた建物で、フランス最先端のデザインを実現するため、厳選された素材と、日本人の職人技ともいえる技術を集結させて建てられた。今回のリニューアルでは、当時の資料をもとに壁紙やカーテン、外壁、香水塔を修復するなどディテールにこだわり、これまで以上に創建当時に近い姿となっている。