最終段階でも、もちろん全数検査!
検査ルームでは、実際に時計を動作させ、異常がないかどうかを確認する。といっても、少しばかりの時間通常動作させたところで心もとない。そこで、検査用コマンドを入力して針を高速回転させ、長時間使用した状態をシミュレート(こういうことができるのが、マルチミッションドライブの強みでもある!)。時分針と秒針、クロノグラフ針やディスク針などが、回転を繰り返しても「遅れ」や「止まり」がなく動作することを確認するのだ。
続いて、気圧検査および水没検査によって製品の気密をチェック。水没検査では一定の圧力をかけ、取り出したあとホットプレートで暖め、水を浸した布でガラス部を冷却する。このとき、気密が不十分だとガラスの内側が曇るので、すぐに分かるのだ。しかし実際には、この段階で試験に不合格になる固体は限りなくゼロに近いとのこと。確かに、ラインに入れる前からパーツの全数検査をして、組み立て工程においても各所でチェックを繰り返しているのだから納得だ。
にも関わらず、OCEANUSをはじめPPLで生産される製品群は、これらの各検査をすべて、抜き取りでなく全数で行っている。その真摯な姿勢には、PPLが提唱する絶対品質へのあくなき追求心が顕著に表れているといえるだろう。まさに「ここまでするか」のひとことだ。これら検査を通過した製品は、バンドの取り付けを経て完成。出荷工程へと送られる。
PPLではとにかく、各作業パートの熟練工の方々が担当部位だけでなく、ケースやガラスに傷がないかどうかも含め、まるで製品を磨き上げるようにチェックしていたのが印象的だった。これほどまでに細心の注意を払い、丹念に組み立てられているOCEANUS。その品質は名実ともにカシオウオッチの最高峰であり、真のプレミアム・ブランドと呼ぶに相応しいと、あらためて感じた今回の取材だった。
さて次回は、高額製品専門の修理ライン、カシオテクノ東日本リペアセンターをレポートする予定。お楽しみに!