日立製作所(日立)は1月26日、国立極地研究所(極地研)における、人工衛星や南極域・北極域の観測地から送信される観測データの解析を行うための研究用システム「極域科学コンピューターシステム」の構築を完了し、2月1日より稼動を開始すると発表した。

同システムは、従来システム比で約5.6倍となる合計40.4TFLOPSの総合理論演算性能、約6.5倍のデータ転送速度を実現し、解析時間を約4分の1に短縮する。また、総メモリ容量を約9.3倍にの18.5TBに増強したことで、解析に利用するデータ量を大幅に拡大し、解析精度を約8倍に向上した。

日立は、同システムは地球環境に大きな影響を及ぼす南極域・北極域の気候・海洋変動のメカニズムを解明する研究に活用され、地球における将来的な気候変動の予測に寄与することが期待できるとしているほか、オーロラ現象と太陽風による磁気圏変動の因果関係など、宇宙空間の環境変化を解明する地球磁気圏物理分野の研究にも活用されるという。

なお、この「極域科学コンピューターシステム」は極地研と共同研究を行う大学や関連研究機関の研究者も利用する予定だ。

同システムの概要図(左)と外観