--Dell Worldでは最新のコンバージド・インフラ「Dell PowerEdge FX2」を発表し、日本でもローンチしたが、コンバージドインフラのニーズはどのぐらいあるのか?--

Marrs氏: 実際のところ、コンバージド・インフラを検討している顧客は多い。「PowerEdge FX2」はデータセンターはもちろん、リモートサイトにも適した製品だ。

コンバージド・インフラ市場が加速している要因としては、サーバ、ストレージ、ネットワークが統合されており、ケーブル配線から設定、実装などが大幅に簡素化される点に企業が魅力を感じていることにあるようだ。必要な機器を個別に用意して設定しなくても、きちんと動く。これは現場で作業している担当者にとって、劇的な業務の簡素化となる。

顧客、パートナーはリファンレンス・アーキテクチャを求めており、コンバージド・インフラやアプライアンスはこのニーズにフィットするものだ。

われわれはコンバージド・インフラに対し、さまざまな製品を投入していく。例えば、VMwareの「EVO:Rail」については7種類のソフトウェアライセンスを統合し、チューニングされた形で提供する。インフラはVMwareのvCenterから管理でき、日本では2015年前半に提供を予定している。

このほかにも、Microsoftの「Hyper-V」アプライアンスもローンチする計画で、ソフトウェア定義型アプローチをとるNutanixともコンバージド・インフラで提携している。Nexenta、Clouderaなどとも同じような協業を行っている。

--Dell Worldでは「Dell Cloud Marketplace」も発表した。日本での展開予定は?--

Marrs氏: Dell Cloud Marketplaceは顧客とクラウド開発者に向けたサービスで、簡単にパブリッククラウドを利用できるツールを提供する。まだベータ版であり、米国向けのサービスとしてAmazon Web Services、Google Cloud Platform、Joyent、Dockerなど、米国企業を意識した事業者と提携している。このまま日本で提供することは考えにくく、内容や提供時期などはこれから決定していく。

--なぜ、Dellがクラウドサービスのマーケットプレイスを提供するのか?--

Marrs氏: それは、企業にとってパブリッククラウドが現実のものになっているという現状を受けてのことだ。日本や中国ではまだそれほどでもないが、米国では企業のパブリッククラウドの利用が増えている。Dellのソリューションはプライベートとパブリックの両方のクラウドで利用されている。

われわれのサービスにおいて差別化となるのは「Boomi」だ。これは2010年に買収したクラウド統合・管理技術で、パブリッククラウドとプライベートクラウドの両方を管理できる。顧客はどの程度パブリッククラウドを利用すべきかを明確に決めていないところも多く、柔軟に管理できるツールを必要としている。

--数年前からエンタープライズベンダーを目指して取り組んでいるが、"PCメーカー"から"エンタープライズベンダー"としての認識はどのぐらい広がっていると考えているか? 2015年は何を最優先事項とするのか?--

Marrs氏: エンタープライズベンダーとしては、まだやることは多い。だが、"当社が変わった"という認識は着実に広がっていると実感している。

先日、約500社を集めたイベントでは、Microsoft、Intel、Cloudera、VMwareなどのパートナーがわれわれのソリューションのデモを行い、盛況に終わった。

日本市場は保守的な部分もあるが、Dellは日本市場で成功したい。そのためにはチャネルの拡大が不可欠であり、この分野に継続して投資を行い、力を注ぐ。顧客やパートナーとの継続的な対話、それにわれわれ自身が戦略を実行することが重要であり、製品や機能として届けていく。

2015年はサーバのシェアをさらに拡大し、iSCSIにおけるトップの地位も維持する。ソフトウェア定義の分野はDellの強みとも重なるので、2015年も強化していく。ソフトウェア分野ではクラウド、インフラ管理、ビックデータ分析などがキーワードとなる。ビックデータ分析については、これらを通じて、日本の顧客から信頼できるアドバイザー、ソリューションプロバイダーとして見ていただけるようになると信じている。