四十路に手が届く筆者の学習スタイルといえば、教師が板書したものを書き写したノートに教科書、国語辞典や漢和辞典、英和辞典に和英辞典、百科事典などを片手に不明な言葉や事柄を調べて学ぶというものだった。勉強を始めるにも、それらのアイテムをそろえるだけでひと苦労……。勉強に費やすはずの時間と気力と体力が準備に奪われ、ナゼかそれで勉強した気になってしまい、本分である学習がおろそかになってしまったという記憶も。

しかし、最近の学習、特に語学学習で四十路男の持つイメージを覆すスタイルが定着しつつあると聞きつけ、さっそく取材した。向かった先は、茨城県・筑波研究学園都市の一角に位置する筑波学院大学。そこで開催された英語スピーチコンテスト「第2回KVA CUP」だ。

筑波学院大学大講堂を舞台に、学生らによって繰り広げられる英語によるスピーチコンテスト「KVA CUP」

英語スピーチ、堂に入った登壇者の姿

「KVA CUP」は、2013年から筑波学院大学にて開催されている。小学生、中学生、高校生、大学生・一般社会人部門と、幅広い年齢層を対象とした英語スピーチコンテストだ。高校生部門や大学生・一般社会人部門においては、スピーチ後に英語による質疑応答が行われるという本格的なもの。「話す」「聞く」という基本スキルはもちろん、「即興で返答する対応力」が求められるのだが、出場者は審査員の質問に対して立派に受け答えしていた姿が印象的だった。

とかく、「日本人はスピーチが下手」「感情を前面に押し出したプレゼンテーションが苦手」という耳の痛くなる言葉を聞く。だが、KVA CUPの登壇者たちは、ときにジョークを交えながら、定められた時間内に思い思いのメッセージを来場者に伝えていた。こうした取り組みが続けば、スピーチ下手、プレゼン下手という評価も、いずれは過去のものになるだろう。

堂々と聴衆を見据えスピーチする姿は、大人も見習いたいほど

高校生部門、大学生・一般社会人部門では、英語による質疑応答が行われた

「第2回KVA CUP」の受賞者、主催者や来賓も交えてパチリ

高校生、今ではクラスの大半が電子辞書を手に勉強

会場内で飛び交う英語の波。それらを理解し、ときにはクスッと笑い、ときには真剣な面持ちで考える来場者を目の当たりにしていると、日本人の英語に対する理解度や教育の深度も深まったのだなと実感。ここで、高校生部門に出場した安藤諒さんにお話を聞いた。

安藤諒さん。どちらかといえば得意ではなかったという英語が、わずか1年であのスピーチができるのかと感嘆させられた。その背景には電子辞書の存在が大きかったという

安藤さんは公立の中高一貫校に通い、現在5年生(高校2年生)。堂々としたスピーチが非常に印象的で、英語はずっと得意だったのか尋ねると「実はあまり得意ではなかった」と意外な答えが。

そんな安藤さんの転機となったのが、4年生(高校1年生)のときにアメリカで1年間過ごした留学だという。「留学の動機は、語学勉強をしたい!という本格的なものではなく、海外を経験したいという思いから。自分で留学情報を探し、試験をクリアして家族を説得したんです」と語る安藤さん。

留学を機に購入したのがカシオの電子辞書「エクスワード」で、その存在は在米中はもちろん、帰国後も手放せないものになっているという。「英語が得意という訳ではなかったので、留学中は分からない単語をひたすら調べていました。また、"おっ! それなあに?"と、クラスメートからエクスワードを珍しがられましたね。会話のきっかけ作りにも役立ってくれました。アメリカにはこういった製品がないそうなんです」(安藤さん)。

実際に持参してくれた電子辞書「エクスワード」は、アメリカ留学の際に購入した愛用のもの。安藤さんのお気に入りは、いろいろな言葉を次々と検索していける「かんたんサーチ」機能。エクスワードに収録された辞書の使い分けなどを意識せず、スムーズに利用できるのが便利とのこと

今でも学習で頻繁に利用しているエクスワードの機能が、安藤さんお気に入りの「かんたんサーチ」。この「かんたんサーチ」は、調べたい語句をエクスワードに内蔵された辞書で横断的に調べられる機能だ。実際に、他の「KVA CUP」出場者のスピーチを聞いているとき、バッグからエクスワードを取り出して語句の意味を調べていた。「分からない単語はすぐに調べないと忘れちゃうから…」(安藤さん)。分からないことを即座に調べる手軽さや機動力は、電子辞書の大きな優位性だろう。

エクスワードに収録されているコンテンツのひとつ「日本 -その姿と心-」が、「日本という国をプレゼンテーションしなさい」という課題にもってこいだったと、留学中に役立ったエピソードを語ってくれた。ちなみに、カシオはKVA CUPに協賛しており、エクスワードを入賞者への賞品として提供している

さて、日頃の学習では、電子辞書をどのように活用しているのだろうか。「今ではクラスの大半が電子辞書を使用しています。紙の辞書を持ち歩いている人はいないのでは」(安藤さん)というほど、学習スタイルのなかに定着しつつあるようだ。

「リスニングが苦手な人はネイティブの発音を聞いて勉強していますし、僕は英語以外では古語の勉強でよく利用しています。また、単に語句の意味を知るだけではなく、そこに表示されている例文が、実はテスト対策に役に立っているんです」(安藤さん)と、意外な利点も挙げてくれた。

ここで、四十路男にふと素朴な疑問が生じる。スマートフォンやインターネットでも、同じように言葉の意味を調べることができるのでは? と。

安藤さんいわく「インターネットで調べごとをすると必要のない情報も検索されてしまい、目的を果たすのに時間が掛かるし、学校内でスマートフォンを使うことは禁止されているんです」とのこと。電子辞書なら校内で堂々と使用できるし、調べるスピード、作業効率を考えると、これに勝るものはないそうだ。

今では、「手放すことのできない必需品」と安藤さんが語る電子辞書のエクスワード。古式ゆかしい辞書を引くのも捨てがたい魅力があるものの、最近の若人は何かと時間に追われがち。「気になったときに」「パッと取り出して」「サクッと調べられる」電子辞書のほうが、イマドキの学生にマッチしているのだろう。多彩な辞典・辞書がギュッと凝縮された電子辞書。これから本格的に語学を学習する中学生や、内容が難しくなる高校生はもちろん、社会人にもおすすめのアイテムだ。