米AppleのCEOであるTim Cook氏が、Bloomberg Businessweekに寄稿した手記を通じて自身が同性愛者であると公表した。「私はゲイであることを誇りに思っている。ゲイであることは、神が私に与えた最高の賜物の1つだと考えている」と述べている。

公表理由についてCook氏は「私自身は活動家ではない」とした上で、「自分自身を受け入れることに苦労している人を助け、孤独を感じている人を慰められるなら、私のプライバシーを犠牲にする価値があると考えた」と述べている。

手記の中で「Appleでは大勢の同僚が、私が同性愛者であることを知っている」と述べているが、これまで同氏が同性愛を公に認めたことはなく、同氏が同性愛者であるのはシリコンバレーでは公然の秘密のようになっていた。多様性(diversity)と包括性(inclusion)を推進する動きが活発になっているものの、保守派の多い州では同性愛を否定する動きが根強い。世界的にも同性愛のような性的指向に不寛容な国・地域は多い。2007年にBPのCEOだったJohn Browne氏が同性愛パートナーの訴訟をきっかけにプライベートが報道されるにようになり、混乱を避けるために辞任した。2011年にUrban OutfittersのCEOだったGlen Senk氏が同性愛を初めて公表したCEOとしてニュースになったが、翌年に同氏は辞任した。Human Rights CampaignのディレクターであるDeena Fidas氏によると、Fortune 1000企業で同性愛を公表しているCEOはいない。

Cook氏の公表によって、世界的にビジネスを展開するグローバル企業であるAppleは困難にも直面するだろう。だが、Appleは多様性を重んじることで創造と革新を実現してきており、リベラルで包括性に富むことは同社の武器でもある。Apple取締役会のチェアマンであるArthur Levinson氏は「ティム(Cook氏)個人の勇気ある公表に対して、われわれは心から拍手を送り、そしてサポートする」という声明を公表した。