岩谷産業は10月14日、名古屋工業大学の安井晋示 准教授の技術指導のもと、上田石灰製造との共同で、デジタルカメラ、天体望遠鏡のレンズに使われる光学結晶材料の原料となるフッ化カルシウム(蛍石)の合成技術を確立したと発表した。

蛍石は、現在、天然資源として中国から全量輸入に頼っているが、品質のバラツキや価格変動が激しく光学結晶材料メーカー(光学レンズメーカー)では安定的な調達が課題となっていた。

新技術は、粉末の炭酸カルシウムを、特殊バインダーを用いて直径5mm、長さ10mm程度の円柱形状に造粒し、これをフッ化水素ガスと反応させることで、高純度のフッ化カルシウムを人工的に合成するというもの。

同技術のポイントは、造粒した特殊バインダーを含む炭酸カルシウムの粒を、表層部のみならず芯部までフッ化水素と接触させ完全にフッ化反応させること、および合成したフッ化カルシウムの純度が99.95wt%以上という高純度であることの2点。特に光学結晶材料は極微量の不純物が存在するだけで、光の吸収特性や結晶強度に大きな影響を与えることから各種不純物濃度が規定されている。同技術では、シリコン、マグネシウムなどの不純物を数十ppm程度以下に抑えて製造することができるという。

同社は、「今回の開発で人工蛍石の量産化にめどが立ったことから、今後は多くの会社に採用いただけるようレンズメーカーおよび鉄鋼メーカーを中心に同製品のPRおよび需要開拓を行い、早期の事業化を目指してまいります」とコメントしている。

合成した高純度フッ化カルシウム