日本のトイレのデザインで特にすごいと思ったことは?

私たちの生活になくてはならないトイレ。ここ数十年で便器の形は和式から洋式へと急激に変化、また温水洗浄付便座も一般的になりました。洗浄機能や暖房機能、人の出入りに反応して蓋を開ける自動開閉機能など、豊富な機能や快適性は世界一とも言われています。

そこで、日本在住の外国人20名に「日本のトイレのデザインで特にすごいと思ったことは?」という質問をしてみました。

■いろんな機能がついているところがすごいです。(マレーシア/30代前半/男性)
■形とボタン。(ロシア/20代前半/女性)
■トイレのデジタルデバイスを見た時すごいと思いました。(スペイン/30代後半/男性)
■細かい機能がたくさんあって便利だと思います。(中国/20代後半/女性)
■使いやすさ。(ドイツ/40代前半/女性)

豊富な機能についてです。デジタルデバイスというのは恐らく、利用時の操作パネルに対する印象でしょう。機能が限定されたモデルや初期モデルでは、ボタンパネルが便座の袖に付いていますが、高機能モデルでは壁面にリモコンとして付いていることが普通です。例えば、TOTOウォシュレットには操作パネルに38個ものボタンと液晶があるモデルもあるそうで、もはやトイレのリモコンのイメージを超えていると言えますね。

■ウォシュレットがあること。(台湾/40代前半/男性)
■ビデ。(韓国/40代後半/男性)
■アメリカにはないウォシュレット機能がすごいです。(アメリカ/20代後半/男性)
■いろいろな機能がついてとても便利です。特に便座を温める機能を気に入っています。(トルコ/30代前半/女性)
■シンプルで使いやすいし、いろんな機能がついています。寒いときの暖かい便座もよいですね。(フィリピン/40代前半/女性)

こうした機能付トイレの先駆けはTOTO。1960年代から扱っていたアメリカの温水洗浄便座を元に独自研究を重ね、1980年に「ウォシュレット」として発売したのが最初です。温水貯蔵式で洗浄と乾燥、暖房便座機能を備えたG(ゴージャス)シリーズ、水を温水にして使う瞬間式と暖房便座機能に絞ったS(スタンダード)シリーズが発売されましたが、どちらにも暖房便座機能はついていました。2005年に来日したマドンナがこの暖房便座についてのコメントをするなど、海外の有名人にも評価が高い機能です。

■トイレに入った瞬間センサーでふたを開けてくれる機能とウォシュレット機能がすごいです。(タイ/30代後半/女性)
■近づくと自動で開くトイレ。(イギリス/20代前半/女性)

ウォシュレットの発売後は他社も参入し、ノズルの抗菌、着座しないと温水が出ない着座センサーなど細部の改良が加えられてきました。回答のような便蓋自動開閉センサーの搭載は90年代後半に増え始めた機能。焦電センサーによる温度変化の検知を利用しており、TOTOネオレストは向かって右奥、LIXILサティスは左奥など、各企業によってセンサー位置や検知速度はさまざまあるようです。

■日本のトイレのデザインはいいと思います、ウォシュレット機能も優れているし、洗面所がないトイレにも手洗い機能がついています、実用的プラス見た目もいいですね。(スウェーデン/40代後半/女性)
■トイレを流すと上に設置されている水道から水が出てくること。(オーストラリア/40代前半/男性)

洗浄用の水をためる際、便器の後ろ上部にある水タンクに流れる水の一部が上の蛇口から皿に流れ落ちる仕組みです。手を洗浄した水はそのままタンクにたまるので、水資源を再利用できて合理的。これは日本特有の機能で、狭い家のトイレ空間を有効に使うべく生み出されたものなのだそうです。それだけに、海外の人には非常に珍しい物として映るわけですね。

■滝などのような音が鳴ること。(アルゼンチン/30代前半/男性)
■石鹸が自動的に出るところがよかったです。(ペルー/30代前半/男性)
■体が不自由な人専用の便所があります。また多目的ルームが整備されています。(ベトナム/30代前半/女性)

それ以外のさまざまな機能です。「滝などのような音」は女性用トイレの個室に設置されるトイレ用擬音装置のことでしょう。疑似的な水音などを流すことでトイレに関わる音を消しつつ、水の無駄な利用の抑制や施設維持費のコスト減を実現する役割があります。手洗い場付きトイレのようにこちらも日本特有の機能であり、海外では一般的ではないそう。ちなみにこの機能は「音姫」とよく言われますが、本来はTOTOの登録商標なんですって。

また多目的トイレは、車いす、オストメイト(がんなどで腹部に人工排せつ孔を造設した人)、子ども連れなどが使いやすい設備と十分な広さを確保した専用トイレです。木島英登バリアフリー研究所のサイトによれば、海外では専用トイレというよりは一般的なトイレに設備つきの広めの個室が配置されていることが多いそうで、それだけに専用の個室が珍しく見えるのかもしれません。

■アラブのトイレのデザインに似ている。(チュニジア/40代後半/男性)

アラブと日本の和式便器は、世界でも数少ないしゃがみ込み式です。和式便器は今ではかなり少なくなっていますが、上記の方にはどことなく親近感があるのでしょうね。

温水便座や洗浄に興味が集まるかと思いきや、トイレ用擬音装置や手洗い場付きトイレ、ボタンがたくさんついたデバイスなど、多岐に渡る回答が見られた今回。和式便器に関する質問の時とはかなり異なった結果となりました。当たり前の機能だと思っていても、海外では意外と当たり前でない事実に驚くトイレ事情。興味のある方は、関連ページなどをぜひチェックしてみてください。