東芝が9月に発売したロボット掃除機の新商品「TORNEO ROBO(トルネオロボ)」。既に販売されている他社製品を徹底的に研究し、満を持して発売されたロボット掃除機を試用して、特徴や使い勝手などの印象をレビューしてみたい。

"いいとこ取り"した新製品

先行機種を研究して開発されたと謳うだけに、確かにいろいろな製品を"いいとこ取り"し、取捨選択が図られた製品という印象だ。まず"いいとこ取り"の1つ目として挙げられるのは大きさ。多くの他社製品が高さ10cmを基準に設計されているのに対し、トルネオロボは高さ8.7cmとわずかに低い。厳密に高さを測ったことはなかったが、確かに他社製品では入り込めなかった家具の下にも入り込んで掃除をしてくれた。

トルネオロボ最上位機種VC-RCX1。無線LANによる通信機能とカメラを搭載する

本体の直径はルンバとほぼ同じだが、厚さがスリムな分、よりフラットな印象を受ける

一方、トルネオロボの直径に関しては35cm。箱から出して初めて目にした時は大きく感じたのだが、スペックを確認したところ、ルンバ最上位の800シリーズのほうが直径35.3cmとほんのわずかに大きかった。おそらく高さが低いから直径が大きく見えてしまうだけのようである。

ゴミ捨てと充電台を兼ねる"ダストステーション"

幅31.8cm、奥行27.8cm、高さ17cmと大きめ。待機・充電時はロボット掃除機の本体以上の設置スペースが必要ということになる

ただし、充電台に関しては明らかに大きい。特にACアダプターと充電台を一体化して設置スペースが大幅に改善されたルンバの800シリーズに比べると、設置場所をかなり選ぶことになる。

しかし、この大きな充電台にはちゃんと意味がある。というのも、この大きさはトルネオロボ最大の特徴ともいえる機能に起因しているのだ。それは、本体が部屋をまわって集めてきたゴミを、充電台に備えられた"もう1つ"の掃除機で吸い取ってしまうというもの。メーカーによると、1回の掃除ごとに本体内のゴミを自動で空にできるため、毎回ゴミを捨てなくても吸引力を低下させずに掃除ができるとのことだ。

吸引力をどれだけ維持できるかは使い続けてみなければ実感できないが、他のロボット掃除機でゴミ捨てをしばらく怠ってしまうと、確かに掃除の際の吸い残しが多くなると感じる。もちろん、マメにお手入れする必要はあるが、ゴミ捨てを何回か忘れたり怠っても勝手に本体のダストボックスが空になってくれるというのはありがたい機能だ。掃除とゴミ捨てを自動で行ってくれるのも"いいとこ取り"な機能の一つだろう。

【左】ダストステーション内のダストボックス 【右】ゴミ吸引部の中の構造 ダストボックスのゴミは片手で引き上げて、ゴミ箱の上でひっくり返して捨てるだけ。1日にゴミ1gと試算して、ゴミ捨ては月に1回程度で済むとのこと

動画
ダストステーションのダストボックスに自動でゴミを吸引する様子(再生時間約40秒、ファイルサイズ約13.8MB)

部屋の隅や家具の足元などのゴミをかき出す働きをするサイドブラシは本体前方に2個搭載している。他のロボット掃除機に比べると毛足が長めで、物体にぶつかっても柔らかくしなる。そのため、すき間にも入り込んでゴミをかき出してくれるのだ。

また、サイドブラシは本体に直に取り付けられているのではなく、バンパー上の部品に取り付けられているという点も特徴的だ。壁などに当たると、ブラシごと内側に少し引っ込む仕組みになっているため、よりフィットして角の奥のゴミまでかき集められる。

サイドブラシは本体前方に2カ所

サイドブラシは本体から独立したパーツに付いていて、障害物に当たると内側に引っ込み、内外にわずかに動く仕組みだ

メインブラシは1本でゴミをかき集める。一般的なキャニスター型の掃除機ヘッドに多い柔らかい毛素材で、床を傷つけにくい。また、床に合わせて上下に動くので、凹凸のある床面でもすき間を作らず密着しやすい構造となっている。

またもや"いいとこ取り"していると感じたのは、障害物を避けるための多数のセンサー類を搭載しているところ。本体前方に障害物を検知するための超音波センサーと赤外線センサーをそれぞれ設置。裏面には段差センサーを前方に3カ所、後方に2カ所搭載し、障害物や段差を回避する精度は確かに高いと感じた。実際、障害物の回避だけでなく、センサーで検知した障害物や壁、隅の情報に基づき、70以上の行動パターンから選択して掃除を行う"Smart Brain(スマートブレイン)"というシステムによって、適切な運転が行われる。

メインブラシは1本。段差のあるところや床面に突出したものに当たると下に沈む込む

本体裏面。5カ所の段差センサーがあり、左右の駆動輪のほか、前方の旋回輪、メインブラシ両側と後方左右の車輪で駆動する