説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「iPhone 6のWi-Fiは速いの?」という質問に答えます。
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iPhone 6(Plus)では、Wi-Fi方式として新たに「IEEE 802.11ac」をサポートしています。この方式は2014年1月に正式な規格として承認されたばかりで、対応するハードウェア(Wi-Fiルータ/アクセスポイント)が必要になりますが、iPhone 5sのIEEE 802.11nを大きく上回る通信速度を実現します。つまり、IEEE 802.11ac対応のWi-Fiルータが設置された環境であれば、iPhone 6のWi-Fi通信速度は従来のiPhoneを上回ります。
ただし、iPhone 6(Plus)はアンテナ1つのシングルストリームです。送信機と受信機の両方に複数のアンテナを搭載し通信品質を向上させるワイヤレス通信技術「MIMO」(Multi-Input Multi-Output、マイモ)の複数ストリームを採用した端末(例:Galaxy S5、最大867Mbps)に比べると、同じIEEE 802.11ac対応といえど、理論上の最大通信速度は約半分の433Mbpsとなります。
もっとも、MIMO/複数ストリームの利用には対応するWi-Fiルータが必要になるうえ、公衆Wi-Fiサービスでの採用は当面先です。一般家庭のブロードバンド環境も、100Mbpsを超える接続サービスの普及はまだこれからという段階ですので、多くのユーザにとって実質的には性能差とならないでしょう。
なお、iPhone 6(Plus)のモバイル通信は、下り最大150Mbpsに対応しています。TD方式のLTE(バンド41)も新たにサポートしていますから、auのWiMAX 2+、ソフトバンクのAXGP(SoftBank 4G)でも通信できます。通信環境次第では、Wi-Fiよりモバイル回線のほうが高速というケースがじゅうぶんありえます。