複雑な光源のレンダリングを加速するVXGI

GM204では、直接光だけでなく、反射光や透過光、干渉物による光の減衰や色の干渉など、現実の世界で展開される複雑な光源を正確にレンダリングする「グローバル・イルミネーション」の負荷を軽減する「VXGI」(VoXel Gloval Illmination)をサポートすることも大きな特徴だ。

VXGIにより、複雑な環境光のコンピュータグラフィックスも、リアルタイムで表現できるようになる

われわれの身の回りには、太陽やライトなどの直接光源だけでなく、物体による反射光や干渉物による光の低減など、複雑な光がいくつも存在するが、これをコンピュータグラフィックスで再現するのは至難の業だった

VXGIでは、2Dマップ上のピクセルのように、3Dマップ上における方形(キューブ状)の処理単位となる「Voxel」(ヴォクセル)を構成し、このVoxelに対して透過光や反射光などを複雑な環境光処理を行なうことで、ピクセル単位で光源処理を行なうよりも大幅に負荷を軽減させることができる。GM204では、このVoxel処理のハードウェアアクセラレーションをサポートすることで、VXGIによるリアルタイムレンダリングを実現。GM204の発表にあわせ、月面を覆う塵(レゴリス)やアポロ11号本体の各素材ごとの反射特性をVXGIによって忠実に再現するデモを披露。このデモは、EPIC Gamesが開発中の次期ゲームエンジンUnreal Engine 4をベースに作られたもので、光源の拡散率などを円錐(コーン)の大きさや底面積の広さで定義するコーン・トレーシングと呼ぶ技法などを用い、物質ごとに異なる反射率や透過率、2重、3重に反射する光などもリアルタイムで再現できるようにしている。

VXGIでは、3Dマップ上にVoxelと呼ぶ方形の基準点を作り、光源の拡散率などを円錐(コーン)の大きさや底面積の広さで定義する「コーン・トレーシング」などの技法を用い、写実的なコンピュータグラフィックス表現を可能にする

VXGIを使ったアポロ11号のデモのVoxel表示。Voxelの大きさは拡散率や透過率によって変化する

アポロ11号の月面着陸時の実際の写真(右)と、VXGIによるリアルタイムコンピュータグラフィックス画面(左)

VXGIによるVoxel処理のハードウェアアクセラレーションにより、通常の環境光処理に比べててレンダリング性能は約3倍向上すると言う