サイボウズの青野慶久社長

サイボウズは9月10日、業務アプリ開発プラットフォーム「kintone」に関する事業説明会を開催した。kintoneの契約数が1700社を突破したと報告したほか、9月にエンタープライズ向けグループウェア「Garoon」と連携、11月には標準ディスク容量を現状の2Gバイトから3Gバイトに拡大、2015年1月にはパートナー向けにプラグイン用のAPIを公開する予定を明かした。

発表会の中で「今後もkintoneに徹底投資していく」と語った青野慶久社長。6月に発表した決算で創業後初の赤字見通しを出したが、それはkintoneの成長を見越した投資があってのもの。「赤字は気にしていない。kintoneがようやくビジネスになる手答えを感じている」(青野社長)

kintoneを含むクラウド基盤「cybozu.com」全体の有効契約者数推移

数字で見る最近のkintone

kintoneは、「案件管理」「顧客管理」「日報管理」など業務に関するアプリケーションをクラウドベースで開発・利用できるもので、ユーザー企業側からすれば1ユーザー780円、カスタマイズ機能が利用できるプランを選択しても1ユーザー1500円で各種業務アプリを使えるメリットがある。

導入実績としてアサヒビール中国やジェイアイエヌ、ディー・エヌ・エイ、医療法人のゆうの森、直近ではジュピターテレコムや三菱ふそうトラック・バスなども導入が決定している。

機能面では、これまでにスマートフォンアプリの提供やWebサービスとの連携など17回、177件のアップデートを実施してきた。

そのほかサイボウズでは、製品の品質向上に向けた施策を実施。社内で検知されていない脆弱性を発見した善意者に報奨金を渡す制度や、社内でのセキュリティ部門の強化に努めている。開発者向けには、4月に公開した開発者向けコミュニティの運営や、ICTコミュニケーションズによるkintoneトレーニング研修プログラムの実施、有志によるkintone勉強会の開催なども力を入れている。

脆弱性への取り組み

セキュリティ施策

パートナー施策にも注力

サイボウズではkintoneの2014年戦略の1つとしてパートナー施策を進めており、提携したSIerとともに各種基幹システムとの連携にも注力している。販売方法もローンチ当初は直販がメインだったが、近年ではパートナー経由で販売にいたるケースが増えてきたという。

パートナー企業の1つ、サイボウズスタートアップスの山本裕次代表取締役社長(最高経営責任者)は事業説明会の中で「kintoneの連携サービスは、提供開始から約2年半で収益化が見込めるビジネス。すでにリリースしている連携サービスの登録状況も右肩上がりで推移しており、2014年末には200万円ほどの契約になる計画。プレーヤーの多いiPhoneアプリなどと比較すると手堅い(収益を上げやすい)感覚を得ている」と、パートナー企業側から見たkintoneビジネスの可能性を語った。

なお、「サイボウズとしてはあくまで企業の情報共有、チームワークを強化するサービスを世に出すことが目的。パートナーを囲い込むつもりはなく、その都度適切なプラットフォームパートナーを選んでもらえれば」としている。