変化を目指す米Microsoftと日本マイクロソフト

さらに続くプレゼンテーションでは、Nadella氏の主導下で文化的変革を行うことを明らかにした。タブレット市場やクラウド市場で後手を取っているMicrosoftは、Ballmer時代にもキーワードとして上がった「チャレンジャー」を改めて掲げている。

そのため、社内の風通しをよくすることを目的に、社員の評価制度にチームワーク要素を加えた。過去のプライドに縛られず、現実を見据えた戦略(マルチプラットフォーム化など)を選択するという。

下図の中で最後の「『光る』会社に」は、クールな製品やサービスを生み出すという意味だ。筆者の私見だが、「Microsoftとクール」は、正直なところ違和感を覚える。前述のとおり「後追い企業」ながらも、そのパワーで打ち勝ってきた今までのMicrosoftとは異なることを意味するようだ。

Nadella氏は文化面を改善することで、会社全体に変化を起こしている

今後の米Microsoftと日本マイクロソフトについて考えてみよう。ここまで述べてきたように、米MicrosoftのCEO交代も相まって、日本マイクロソフトを含む全体の方向性がドラスティックに変化している。

その中で樋口氏は、「米国本社に対する日本マイクロソフトの発言力も高まりつつある」と述べたのは非常に興味深い。初代SurfaceやXbox Oneのリリース時、日本はセカンド・ターゲットへ格落ちしたことを残念がる方も少なくないだろう(新製品を発売する世界各地域において、日本は最初に発売する地域の中から漏れていた)。上記の一言がどのような影響を持つかは推測できないものの、日本マイクロソフトの努力が、WindowsをはじめとするMicrosoft製品を使う我々にとっても有利に働くことになる。

日本マイクロソフトは前年度、米Microsoft本社から「TOP SUB AWARD(先進6カ国カテゴリ、OEM部門)を受賞した

そしてサーバーやクラウドを含めたWindowsだけではなく、現在のモバイルシーンやクラウドシーンに追従しようとする同社の姿勢は、これまでそして今後もWindowsを使っているユーザーにとって注目に値するはずだ。

阿久津良和(Cactus)