「小米(Xiaomi)」「Samsung」「中国市場(と新興国市場)」――2014年から今後2年のAppleとスマートフォン市場を語るうえで重要なキーワードがこの3つだ。中国市場での小米の快進撃とSamsungのハイエンドでの最近の不調は、スマートフォン関連のニュースではお馴染みとなりつつあるが、これに関して一部誤解もあるので少し整理したい。

先進国でのスマートフォン需要が一巡しつつあるなか、まだ携帯電話ユーザーにおけるスマートフォン比率が40%程度の中国は、その人口規模もあって潜在的な市場として世界のスマートフォンメーカーの注目を集めている。

中国市場でのスマートフォンシェアトップはSamsungだったが、今年8月になり小米がSamsungを抜いたことが大きな話題となった。こうした競争の激しい中国市場において、Appleはシェア拡大を狙って新製品を投入している。

その1つがiPhone 5sとともに市場投入された「iPhone 5c」で、同時期には中国最大手の中国移動通信(China Mobile)がiPhone販売を開始したこともあり、販売のさらなる加速に期待が集まった。

iPhone 5cではファション性を全面に押し出したものの……

だが以前のレポートでも解説したように、iPhone 5cは中国でのニーズに必ずしもマッチした製品ではなく、少なくともAppleが当初期待していたほどのセールスは達成できなかったと筆者は考える。Appleを含む中国外の携帯メーカーが判断を誤っていたと考えているのが、中国に住む一般的な人々が入手可能な価格帯、つまりミッドレンジ以下の製品を集中投入することでシェアを獲得できると思っていたことだ。

実際、山寨機と呼ばれる製品はこうしたニーズから登場してきたものだからだ。だが現在、山寨機の市場はほぼ壊滅しつつあり、人々はメーカー品を求めるようになっている。かつて山寨機をリリースしていたメーカーも、現在は自社ブランドを前面に出して製品開発にあたっている。