この手軽さは、世界を変える
情報だけでなくアクションや議論を授業に組み込み、設計することができるiTunes Uは、インターネットを通じた学びを提供してきた。iTunes Uアプリの刷新によってコース作成機能が付いたことは、iTunes Uの「自由な学び」を、学習者だけでなく教育者にも提供する事になる。
これまでiPadが導入された学校では、ビデオを撮影したり、Keynoteのスライドを活用するなど、先生側の様々な工夫によって独自の授業が生み出されてきた。こうした取り組みを、iTunes Uアプリによって、iPadだけで「コース」として記述することで、流通可能にし、学校内において、授業のノウハウを蓄積し、共有可能にすることができるようになった。
同時に、iTunes Uでコースを一般公開することによって、日本中、あるいは世界中の学校でそのコンテンツを使ってもらうことができるようになり、フィードバックを含む様々な情報を、授業を公開した先生が得られるようになる。そして何より、iTunes Uでのコース作成は簡単なのだ(前回の連載記事を参照)。
手軽に授業の準備をiPadを使って行うと、学校内、あるいは国中の教育が変わる。そんなツールが無料で配信され始めたことは、デジタルと教育の変革にとって大切な1ページになるだろう。
松村太郎(まつむらたろう)
ジャーナリスト・著者。米国カリフォルニア州バークレー在住。インターネット、雑誌等でモバイルを中心に、テクノロジーとワーク・ライフスタイルの関係性を追求している。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、ビジネス・ブレークスルー大学講師、コードアカデミー高等学校スーパーバイザー・副校長。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura