Appleは7月1日に、iPhone/iPad向けに提供されているアプリ「iTunes U」を更新した。新しいバージョンになったiTunes Uには、これからの教育現場において、iPadがより深く指示される可能性を秘める、大きなアップデートが含まれている。今回、次回の2回で、iTunes Uの最新版と、その可能性についてお伝えする。
iTunes Uとは
Appleが掲げる「iTunes U」は、様々なデジタルコンテンツを活用してオンライン上に作られた授業・コースを、iPhoneやiPad、ウェブなどで受講することができる仕組みだ。
大学や高校・中学、幼稚園、あるいはその他の教育機関が実際の授業、あるいはオンライン専用の授業を「コース」として配信し、受講者となるユーザーは、無料でこれらのコースで学ぶことができる。もちろん、単位認定などは行われず、授業料を払った人が試験やレポートなどの提出物を出して評価を受けなければならない。しかし、コンテンツを見ることは無料だ。
Appleは2001年のiPod発売を皮切りに、デジタルコンテンツの流通手段を大きく変えてきた。
音楽や映画などのエンターテインメントが中心だと思われてきたが、Podcastの登場で、個人やブロガー、あるいは企業が自由にコンテンツを作成し、デジタルミュージックプレイヤーに届けることができるとカルチャーが醸成された。Appleはこうしたカルチャーを見て、音楽作成アプリGarageBandにPodcast編集機能を追加している。
その流れが教育に押し寄せるまで、さほどの時間は必要なかった。ちょうど、教育サイドでは、OpenCourseWare(オープンコースウェア、OCW)と呼ばれる、オンラインで授業を公開しようという活動が盛り上がっていた。筆者も参加しているが、毎年OCWの国際学会が開かれ、どのような手法でコンテンツを作るか?どんなツールが効果的か?大学の生徒募集にいかに結びつけるか?といった議論が交わされてきた。
こうした議論の盛り上がりに呼応する形で、Appleは2007年に、iTunesのPodcastコーナーに大学発のコンテンツを集めるカテゴリを作り「iTunes U」と名付け、多くのOCWのコンテンツがiTunes Uにも登録されるようになった。
2007年はちょうどiPhoneが発表された年であり、いつでもどこでも、大学の授業が視聴出来る環境が出来上がった年でもあった。その後、iPhoneのミュージックからPodcastがアプリとして独立し、さらに2012年にPodcastから、現在のiTunes Uアプリとして独立した。