――「スタジオウアモウ」には、ショーウインドーから店内の棚まで、大量の「ウアモウ」フィギュアが並べられているのがとても印象的です。最初にウアモウのフィギュアを作ったのはいつですか?
フィギュアの制作も、コミックスと同様、大学時代に初めて取り組みました。今店舗に並べているソフトビニールのタイプではなくて、樹脂製のポリストーン製の大きなサイズのものを、中国で量産して販売をはじめました。
――個人制作のフィギュアをいきなり量産されたんですね! 個人でガレージキットを少量作るのではなく、量産に踏み切った理由は?
高校時代の同級生のお父さまが食玩フィギュアを作るお仕事をされていたというご縁があって、相談したところ「うちの工場で作ればいいよ」と言っていただけまして、500体から生産を始めました。当時は「とにかく作りたい」という「ウアモウ」への思いが先行していましたね。
ただ、作ったら在庫を自分で抱えることになるのですが、当時はロンドンで狭いフラットをシェアして暮らしていたため、部屋が段ボールでいっぱいになってしまって……。その物量を見て、「私はこれを売らなくてはならないんだ」と気づき、フィギュアを持って現地のトイストアや書店、ファッションストアなどを回り、置いてくださる店舗を1軒1軒開拓していきました。
――大学時代のフィギュア製作のお話もそうですが、現在もソフビフィギュアを中心にグッズを展開されるなど、立体作品が中心となっていますね。
それは、私がフィギュアコレクターだということが関係しています。かわいい系からリアル系まで、さまざまなジャンルのフィギュアをおよそ2,000体以上所有しています。日本の怪獣ソフビやスマーフなどのキャラクターもの、それからメディコムトイやホットトイズの商品が好きで集めています。なので、思い入れのある「ウアモウ」を立体にしたいと考えたんです。
――フィギュアの原型はご自身で作られているのですか?
先ほどお話した、学生時代に制作した最初のフィギュアは自分で原型を手がけました。それ以降の物は、原型師さんにお願いして作っていただいています。私自身は高校、大学と平面を中心に専攻していましたし、やはり原型師さんが制作した物のクオリティは非常に高いので、私はスケッチやイラストを担当して、それを元に原型制作を行っていただくようにやり方を変更しました。
――ちまたで売られているフィギュアはフルカラー彩色の物が多いですが、「ウアモウ」のフィギュアは単色で、同じ形で色違いを多数展開されていますね。
はい、ひとつの原型に対するカラーバリエーションが、ほかのメーカーさんに比べて多いのは特徴のひとつで、驚かれることも多いです。型のバリエーションはそんなに多くは作っていませんが、カラーバリエーションは豊富に展開しています。基本色は白、クリア、蓄光というところからスタートしています。
ソフビの成型色にラメを入れた物も珍しいかと思います。怪獣ソフビなどにもラメ入りの物はあるのですが、それよりもかなり多量のラメを、職人さんにお願いして限界までぎっしり入れていただいています。そういった新しい挑戦をしたかったということもありますし、ラメがぎっしり入った雑貨は女性が好む傾向があるので、今までソフビフィギュアを手に取ったことのない方にも手にとっていただけているとも感じます。
そうしたこともあってか、フィギュアコレクターには男性の方が多いのですが、「スタジオウアモウ」では女性のお客様が多くなってきています。"女性でも手に取りやすいフィギュア"を意識しているところはありますね。
――確かに、色の出し方にはファッション系のショップでも置けそうな雰囲気があります。
そうですね。また、これまでにも玩具店との連携のほか、BEAMSで限定ショップを出したりもしています。ただ、「トイ」や「ファッション」など、「このジャンルでやる」という範囲を決めずに、ウアモウが動いていける部分でどんどん旅立っていってもらえたら、という思いでいます。