3代目ASIMOも科学コミュニケーターに就任

そして冒頭でも簡単に触れたが、すでに活躍しているロボットたちも新しいデモが行われることとなり、ロボットコーナーの内容が改まり、拡大オープンとなった。まず、実証実験で何度も未来館に登場している3代目ASIMOだが、今回のリニューアルに伴って正式に科学コミュニケーターとして2代目に代わって所属。2002年に初代が未来館インタープレイター(展示解説員)として採用され、2代目までは人の科学コミュニケーターと一緒にデモを行ってきたが、3代目は1人で行う。もう立派な科学コミュニケーターなのだ。今まで以上に広いスペースを使ってASIMOがデモを行うのだが、その様子を録画したのでご覧いただきたい(動画7)。

このデモ、少々長いが、筆者が個人的に見所と感じたというか、がんばっている姿にほれぼれしたのが終盤のケンケン。3代目は2代目と比較した場合、深夜の通販番組のダイエットサプリでも使用したのかと驚く6kgものウェイト減量に成功したのだが、それでも48kgほどの重量があるわけで、それが片足でケンケンしまくるのだから迫力がある。ちゃんと飛んでいるのがわかるし、とにかくヒザへの衝撃がすごそうで、こんなハードなケンケンを毎日、それも複数回こなしたら、ヒザ関節のパーツのメンテが大変だろうとかマジメに心配してしまったほどだ。

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動画7。3代目ASIMOがデモ

その次に披露されたのが、UNI-CUBβ。これまで、科学コミュニケーターが乗ってフロアをランダムに走り、来館者に説明してあげるという実証実験の一環としてのスタイル(実証実験でもあるので)だけだったが、正式にどのような乗り物なのかが披露されることとなったのである(動画8)。

そして、fuRoのHalluc IIも一新というか、復活。ビークル、インセクト(昆虫)、アニマルの3モードに変形できる移動ロボットのHalluc IIだが、実は2007年からがんばっているベテランのため、部品の劣化でここのところ調子が悪く、初期のデモは行ってなかったという。それをすべて修理し、すっかり蘇った形で、また全方位走行や3段変形による8本足歩行なども披露できるようになったというわけだ(動画9)。しかし7年も経つというのに、デザイン的に古さが出てこないのがすごい1台である。

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動画8。UNI-CUBβのデモ
動画9。Halluc IIのデモ

以上、ロボットコーナーが大きく様変わりしたのがおわかりいただけただろうか。また未来館はこのロボットコンテンツだけでなく、4月からは「ドイツ航空宇宙センター巡回展示 火星の新しい視点 ~"マーズ・エクスプレス"がとらえた高解像度3D写真~」(7階ドームシアター前:画像32)、6月12日からは親子でワークショップや体験型の展示を体験できる無料スペース「"おや?"っこひろば」(3階)がオープンし、同スペースでは同月15日からNHK for Schoolとのコラボレーションで、「キミなら何つくる?」(幼児~小学生)と「考えるカラス」(小学3年生以上)の無料ワークショップを展開している。

画像32。火星探査機マーズ・エクスプレスのイメージ。(c) ドイツ連邦共和国航空宇宙センター

また前述したように、7月2日からは企画展「トイレ? 行っトイレ! ~ボクらのうんちと地球のみらい」もスタート。そのほか、6月1日からは「「つながり」プロジェクト2014」として、「Geo-Cosmos Content Contest(ジオ・コスモス コンテンツ コンテスト)」が始まっており、7月31日まで作品の応募を受け付けている(特設サイト応募フォームはこちら)。本選に残った作品は、デジタルコンテンツEXPO2014(10月23~26日)中に展示されるそうだ。

というわけで、次々と変化している未来館。未来館は博物館ではなく、常に先端技術や科学の知識を編纂して展示することを第一とする展示施設なので、今回の大幅アップデートで、ロボットコーナーは2010年代の先端的内容に刷新されたといっていいだろう。このあとは、中立的な立場である未来館ならではの、オトナロイドとASIMOの共演とか、そこにすぐ近所のメガウェブからトヨタのロボット系のパーソナルモビリティなどを借りてくるとか、「ほかじゃ見られない内容」をぜひ実現してほしいところである。ともかく、この夏はロボットファンだけでなく、見所満載なので、ぜひ未来館に足を運んでみてほしい。大人同士、子供同士だけでなく、親子でも楽しめるので、要チェックだ。