産業技術総合研究所(産総研)は7月3日、ディーゼル排ガス酸化触媒に含まれる白金族の使用量低減に有効な触媒調製法として、表面ポリオール還元法を開発したと発表した。

表面ポリオール還元法のプロセスは、まず貴金属塩の水溶液に少量のポリオール還元剤(エチレングリコールなど)を加え、触媒担体であるアルミナ粉末を含浸させたのち、この懸濁液を加熱して乾燥粉末にする。さらに、この粉末を窒素気流中で加熱すると、粉末表面に残存するポリオール還元剤により、ポリオール還元反応が進行し、貴金属塩が貴金属ナノ粒子として担体表面上に析出する。最後に、この粉末を高温で加熱して、残存するポリオール還元剤などを燃焼除去すると、貴金属ナノ粒子担持触媒が調製される。

透過電子顕微鏡(TEM)で観察した結果、アルミナ粉末表面に粒子径の揃った3nm程度の白金ナノ粒子が直接析出していることが確認された。また、同調製法で作製された材料は、白金-パラジウムの使用量を50%低減させているにもかかわらず、従来法で調製した触媒と同等以上の炭化水素浄化性能を示すという。

今後、ディーゼルエンジンの排ガスを使用した実車レベルでの浄化試験において十分な性能を確保すべく、プロセス条件の最適化などにより、触媒の耐熱性や触媒性能のさらなる向上を図る。これにより、実用に耐えうる性能の実現を目指すとともに、実用化に向けた量産技術を確立していきたいとコメントしている。

表面ポリオール還元法で作製されたディーゼル酸化触媒

ポリオール還元後の触媒のTEM像。図中の黒い粒子が白金ナノ粒子